Microsoft AzureとHPE、ISSでのSpaceborne Computer-2を用いたゲノミクスワークロードを完了

マイクロソフトとHPEの両社は、今年2月に国際宇宙ステーション(ISS)に送った「Spaceborne Computer-2(SC2)」での最初のワークロードセットを完了したと発表しました。

その名が示すとおり、このシステムは初代「Spaceborne Computer」の後継モデルです。それは2017年8月にISSに送られ、およそ615日後にSpaceX Dragonカプセルに搭載され地球に帰還しました。

その当時は、HPEとISSのみのプロジェクトでした。後継モデルでは、データをAzure上に保存し、さらなる処理を行う目的で、マイクロソフトがチームに加わりました。

SC2は2Uのシステムで、1UはHPE Edgeline EL4000 Converged Edgeシステムで、CPU x1とGPU x1、64GBのメモリ、4x 240GBのSSDを搭載しています。もう1つの1Uは、HPE ProLiant DL360 Gen10サーバーで、CPU x2、192GBのメモリー、10×240GBのSSDを搭載しています。

プロジェクトの目的は、SC2を使ったエッジ処理の試験、そしてさらなる作業に向けてクラウドを利用することでした。彼らはヒトゲノムの解析を行っています。これは、強い放射線にさらされた宇宙飛行士に、将来火星のような場所に行けなくなるような突然変異が起きていないかどうかを調べるのに有効な研究です。

問題は、60億文字のヒトゲノムを解読するには、約200ギガバイトの生データが必要になることです。「Spaceborne Computer-2」が地球にデータを送信できる通信帯域は週に2時間しか割り当てられておらず、また最大ダウンロード速度は毎秒250キロバイトです。つまり、1つのゲノムデータを送信するのに2年かかることになります。

MicrosoftのAzure Space部門のプリンシパル・ソフトウェア・エンジニアリング・マネージャーであるDavid Weinstein氏は、「まるで90年代のダイアルアップモデムに戻ったかのようだ」と述べています。

そこでSC2は、すべてのデータを送信するのではなく、異常な部分を探し、それだけを地球に(そしてAzureのデータセンターに)送信する形を取ります。

このような実験は4回完了し、現在さらなる4回の実験に取り組んでおり、そしてあと29回の実験が残っているとHPEは述べています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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