「富岳」が世界最速スパコンランキング1位を獲得

Top500ランキング他発表

富士通と理化学研究所が開発した「富岳」システムは、年に2回、世界で最も強力なシステムをランク付けするTop500ランキングで首位を獲得しました。

このスーパーコンピュータはLINPACKベンチマークスコアで415.53ペタフロップスを達成しました。これは、米国のSummitの148.6ペタフロップスをはるかに上回りました。ただし、そのベンチマーク結果には多くの否定者がいます。

しかし、富岳は、実世界のアプリケーション実行によりスーパーコンピュータをランク付けするHPCG、AIアプリケーション・ランキングのHPL-AI、およびデータ集約型の負荷に基づきシステムをランク付けするGraph 500でも首位を獲得しました。(4冠達成)システムがこれらすべてのベンチマークで1位を獲得したのは史上初です。

また、マシン/ディープラーニングワークロードでHPCパフォーマンスを測定するHPL-AIベンチマークでは、富岳は1.45エクサフロップスのピークパフォーマンスを記録しました。これは、2位Summitの0.55エクサフロップスのベンチマークを大きく上回ります。

ずば抜けたシステム

6年間で10億ドルを投じて開発された富岳は、2011年に一時的に首位となった「京」スーパーコンピュータの後継機です。この新システムは、Summit(10.1MW)の数倍の28.3MWの電力負荷を要求します。画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: shutterstock_729123628.jpg

2021年4月からフル稼働を開始予定されている富岳は、富士通のA64FXプロセッサを搭載し、Arm搭載のスーパーコンピュータとしては、Top500リストで初の首位獲得となります。尚、これは現状4種類あるArm搭載システムのうちの1つです。

ちなみに、このスーパーコンピュータ用に開発された、48コアのチップは、今年後半には商用販売開始が予定されています。

Top500共同創設者のジャック・ドンガラ教授は、概要レビューで次のようにコメントしています。「R-CCS Fugakuシステムは700万コア超の非常に印象的なシステムです、標準の科学技術計算においては64ビット浮動小数点演算で514ペタフロップス、機械学習アプリケーションでは16ビット浮動小数点演算(bfloat16浮動小数点形式ではない)で2.15エクサフロップのピークパフォーマンスを実現している。」

「富岳システムは、現在首位のシステム(=Summit)のおよそ3倍(実際は2.84倍)高速だ。HPL(High-Performance Linpack)ベンチマーク結果では415ペタフロップス 、または81%という理論上のピークパフォーマンス値も、ワット当たり14.7ギガフロップスと、効率性が印象的だ。」

「ピークパフォーマンスのわずか2.5%のHPCGパフォーマンスは、メモリアーキテクチャパフォーマンスの強さを示している。Arm A64FX HBM2メモリのメモリからの浮動小数点演算あたりのバイト比率は、倍精度のフロップあたり0.4バイトであり、これは、浮動小数点演算とメモリからのデータ転送の適切なバランスを示している。これは計算科学の問題や機械学習アプリケーションにおいて優れたパフォーマンスが期待できる。」

次点

富岳(首位)とIBM Power 9をフィーチャーしたSummit(二位)に、ローレンス・リバモア国立研究所にあるSierraが続きます。画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: shutterstock_1440907523.jpg

IBM Power 9 CPUとNvidia Tesla V100 GPUを使用するSierraはHPLで94.6ペタフロップスを達成しました。

次に、中国で最もパワフルなシステムであるSunway TaihuLight(神威・太湖之光)が4位と続きます。Sunwayの260コアのSW26010プロセッサを搭載した93ペタフロップスの性能は、2016年夏に発表時点では、世界で最もパワフルなシステムでした。

5位は中国の国立防衛技術大学のTianhe-2Aです。それはIntel XeonとMatrix-2000コプロセッサを組み合わせ、61.4ペタフロップスを誇ります。

次に、イタリアの石油大手Eni向けに構築されたDellのシステムHPC5が続きます。化石燃料を利用する35.5ペタフロップスのスーパーコンピュータは、ヨーロッパで現在最速のマシンです。

6位に入ったもう1つの新しいシステムは、Seleneです。27.58ペタフロップスのこのマシンは、Ampere A100 GPUとEpyc CPUを搭載し、Nvidia用としてNvidiaにより構築されています。

次に、テキサス先端計算センターに導入されている23.5ペタフロップスのDell C6420システムであるFronteraが続きます。

イタリアは、CINECA 研究センターにあるMarconi-100で再びトップ10に返り咲きました。Power 9チップとV100 GPUによる、21.6ペタフロップスの性能でます。

トップ10を締めくくるのは、19.6ペタフロップスのPiz Daintで、これは、スイス国立スーパーコンピューティングセンターに設置されたXeonとP100 GPUを搭載したCray XC50システムです。

全体概要は

Top500のすべてのシステムを合計すると、6か月前の1.65エクサフロップスから2.23エクサフロップスに増加しました。

中国のシステム数は依然として226であり、合計で565ペタフロップスです。米国は合計システム数は114と少ないが、合計644ペタフロップスと、より強力です。その他、日本は30システム、フランスは18、ドイツは16です。

Green500ランキングで最もエネルギー効率の高かったシステムは、Preferred Networksの新サーバをベースとするMN-3でした。1.62ペタフロップスのパフォーマンスの中で、記録的な21.1ギガフロップス/ワットを達成しました。尚、同システムはTop500リストでは395位にランクインしています。

Green500での2位は、DGX A100アーキテクチャに基づき構築されたNvidiaのSeleneでした。Green500での富岳の順位はSummitに続く9位でした。

Data Center Dynamics

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