米ナッシュビルの爆発事件、AT&T施設で火災や冠水が発生

昨年12月25日のクリスマスの朝に起きた米テネシー州ナッシュビルでの爆発事件により、First Responder Network Authority(FirstNet)のサービスを含むワイヤレスサービスが一時中断するなどの混乱が生じました。

自爆攻撃はAT&T本社ビルの真正面で行われましたが、AT&Tが意図的に標的にされたかどうかについては明らかにはなっていません。爆破犯容疑者のアンソニー・クイン・ワーナーは、月面着陸や911はフェイクであるなど、根拠のない陰謀説を主張する手紙を地元メディアに送りつけたりしていました。

連邦捜査官は、(5Gのない国でも感染が蔓延しているにもかかわらず)彼が、新しい通信技術がCovid-19を引き起こしたとする根拠のない5G陰謀説も信じていたかどうかについての調査を行っています。

デジタルインフラストラクチャがテロリストの標的になる可能性がある

爆発事件はすぐに、地元地域だけでなく、より広い地域にわたり、すべての主要通信事業者のインターネット、電話、および無線サービスに影響を与えました。

爆発は2番街のAT&Tビルに重大な被害をもたらしましたが、容疑者のワーナーが攻撃を行う前に警告を発したこともあり、幸いワーナー以外の死者はいませんでした。

爆発は複数のフロアに損傷を与え、またビルの正面、梁や柱、エレベーターなども破壊しました。更に商用電源への接続断、2本の地域の水道管が破裂し、ビル下層階では深刻な冠水が発生しました。

火災は25日から翌日にかけて一晩続き、ビルの住人らは避難しました。翌日の26日、技術者らはビルにアクセスするための穴を開け、外部発電機を介して重要機器に電力を再投入し、一方技術部隊は他の施設へのサービスの再ルーティングを行いました。

27日までには、4階までの電力は回復し、地下から3フィート冠水した水は汲み出されましたが、それでも引き続き施設への立ち入りは禁止とされていました。技術者はまた、システム復旧時に施設の温度管理が行えるよう、冷却装置の修理に取り組み始めました。

12月29日火曜日までには、地元の電力会社によりビルの商用電力は回復しました。ビルは引き続き修理が行われており、完全復旧までにはしばらく時間がかかります。

このサイトは、AT&Tが運営する全国的なワイヤレス公安ブロードバンドネットワークであるFirstNet通信網の重要な部分を担っています。爆発の直接の影響は受けませんでしたが、グリッドへの接続が切断されたため、システムは一時的にバッテリー電源に移行しました。

計画ではその後、バックアップ用発電機に移行するはずでしたが、破裂した水道本管によってすぐに浸水しました。これにより、施設がすべてのサービスを他の場所に再ルーティングする前に、発電機は動作不能になりました。

爆発の5時間後、そしてバッテリー死亡の4時間後、FirstNetは、サービスを復元するための新たな設備をオンラインにしました。それは、自己完結型のモバイル基地局のように機能し、衛星を介してFirstNetに接続するものでした。

「FirstNetの目的は、状況に関係なくファーストレスポンダー(※例えば救助隊・救急隊・消防隊・警察など)に対し接続を提供することであり、実現可能な最もレジリエンス(回復)力のある通信網を提供するために、当局やサービスプロバイダーであるAT&Tに大きな負担をかけている」 FirstNetの諮問委員会議長であるTip Osterthaler氏はこのように述べています。

「この攻撃から学んだ教訓を吸収しながら、変化する脅威環境に対処するために、リスク管理と投資戦略を適切に調整していく。爆破による死者は明らかに爆破犯人のみであったことは不幸中の幸いだった。また、生命と財産を守り、サービスを回復するためにクリスマスの朝に現場に駆けつけてくれたファーストレスポンダー、ユーティリティクルー、AT&T担当者に感謝する」

その後同様のシステムにより、より広範なAT&T通信網は復旧し、事件後2日以内にはサービスの65%は復元されました。

「通信網の復旧において非常に困難であったことは、連邦および地方の法執行機関の協力を得、犯罪現場の完全性を維持しつつそれを行うことだった」とAT&TのCEO、Jeff McElfresh氏は述べています。

「過去2日間で、数百人のスタッフ(AT&Tの従業員とファーストレスポンダー)がサービス復旧に協力してくれた。我々はビルの複数フロアの電力を復旧し、25を超える仮設の衛星基地局と24のディザスタリカバリ用装置の追加トレーラーを配備した」

米国国土安全保障省は2020年初頭に次のようなインテリジェンスレポートを発表したとABCニュースは報道しています。「Covid-19の普及と5G通信網の拡大を結びつける陰謀説は、通信インフラストラクチャに対する攻撃を世界的に引き起こしている、そしてこの脅威はおそらく電気通信関係労働者に対する暴力の呼びかけを含め、感染拡大につれて増加するだろう」

「暴力的な過激派は、ワイヤレスインフラストラクチャは人体の健康に有害であり、Covid-19の感染拡大を助長していると主張するオンライン誤報キャンペーンから生まれた。そして、5Gインフラストラクチャに対する攻撃を行う手引きと正当化を共有し、その結果、5Gインフラストラクチャに対する攻撃を実施するための運用ガイダンスと正当化を共有し、志を同じくする個々のグローバルな活動が実現した。米国のいくつかの州では、すでに放火や基地局に対する物理的な攻撃を促している」

Data Center Dynamics

原文はこちら

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。