英国の病院が猛暑の中、IT障害に見舞われる

英国で続く熱波の中、ロンドンを拠点とする医療機関Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trustで大規模なIT障害が発生しました。

医師が患者の医療記録にアクセスできないため、同トラストはいくつかの予約をキャンセルし、手書きでメモを取るという旧来の方法に戻さざるを得ませんでした。また、医療画像へのオンラインアクセスも停止したため、医師はCTやMRIの検査結果を見ることができず、電話での報告を求めなければならなくなりました。

7月18日と19日、英国の首都では気温が40℃に達し、観測史上最も暑い日となりました。

報告によると、今回のシステム停止は、トラストのデータセンターが未曾有の高温のために障害を起こしたことが原因であるようです。トラストはThe Registerに次のように語っています。「ITシステムでいくつかの問題が発生し、その解決に全力を尽くしている」

昨日のTwitterの投稿によると、トラストは依然として障害に悩まされているようです。

熱波が障害の引き金となった一方で、Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trustは、取締役会の監査・リスク委員会の報告書で、数ヶ月前にそのITシステムの脆弱性について警告を受けていました。

この報告書には、「当トラストには、Windows 10オペレーティングシステムや耐用年数を迎えたITインフラなど、サポートが終了したITシステムが数多く存在する」と書かれていました。

「最も深刻なリスク領域に戦術的な修正パッチを適用することで、関連するセキュリティリスクを部分的に軽減するための作業が過去6カ月間に行われた」

同トラストは現在、1億7500万ポンド(2億1000万ドル)の契約に基づき、米国のサプライヤーEpic社の新しい電子医療記録ソフトウェアに移行している最中です。この新しいソフトウェアは、2023年4月に稼働する予定とされています。

熱波が続く中、英国中のDCインフラでは混乱が起きています。Google CloudとOracleの両社では、冷却関連の不具合による障害が発生しました。熱波はITインフラにだけ影響を与えたわけではありません。首都圏では熱波に伴う停電事故を「ギリギリで回避した」とする報道がなされています。

気象庁の気候変動学者であるニコス・クリスティス博士によれば、この熱波は気候変動に起因するものだということです。「最近の研究では、英国で猛暑日が発生する可能性が高まっており、今世紀中もその傾向が続くことがわかりました。イングランドの南東部で最も厳しい気温が観測されることが予想されます」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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