TSMCが2030年までに台湾の電力消費量の24%を占める可能性

高度化するチップ生産が電力逼迫を招く

TSMCのエネルギー需要の増大は、2020年代後半には同社と台湾の双方に大きな圧力をかける可能性があります。

S&P Globalの新しいレポートによると、TSMCの電力消費量は現在台湾全体の8%を占めており、同社がますます高度な半導体を製造し続けるにつれて、この数字は2030年までに24%近くまで上昇する可能性があるとのことです。

また、同社が10nmチップの生産を開始した2016年から、3nmチップの量産が始まる2023年までの間に、同社の電力消費量は〜110GWから約250GWへと2倍以上に増加するというデータもあります。

S&Pの他のサステナビリティレポートでは、同社の電力消費量はIntel(インテル)の90GWの2倍以上であり、SK Hynixの125GWよりも大きいとされています。

ウェーハ出荷量が、2023年比で90%増加するという前提でS&Pが行ったモデリングによると、同社の電力消費量は794GWに達し、50%増加しても2030年には418GWになると予測されています。

さらに、この電力不足は、同社がエネルギーを大量に消費する極端紫外線リソグラフィプロセスを採用するにつれてさらに深刻化しています。また、同レポートによると、2022年のTSMCの12インチウェーハマスク1層当たりの消費電力は27.7kWでしたが、2023年に3nmの生産が拡大したため、この数字は40.5kWに跳ね上がりました。

同社は、2050年までにネットゼロを達成する方針を掲げており、排出量を削減し、2040年までに、100%再生可能エネルギーに移行するための措置を講じていますが、同社の電力消費量は群を抜いて最大の温室効果ガス排出量です。

ちなみに、同社は台湾全体の使用量の約8%を消費していますが、台湾全体で現在、再生可能エネルギーによって発電されている電力の割合は、約6%にとどまっています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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