シンガポールがデータセンター機器向けの新しいグリーンスタンダード

シンガポールは、エネルギー効率の高いIT機器を導入することでデータセンターの電力消費を削減するため、新しい規格「SS 715:2025:データセンターIT機器のエネルギー効率」を発表しました。これは、情報通信メディア開発庁(IMDA)によって最近発表されたました。この取り組みにより、シンガポールは熱帯地域においてIT機器のエネルギー効率に関するデータセンター規格を定めた世界初の国のひとつとなります。

一般的なデータセンターでは、IT機器が総電力使用量の約60%を占めており、AIの利用が増加するにつれて、その消費量はさらに増加する見込みです。国際的なエネルギー効率の基準に準拠したIT機器を使用し、ITエネルギー管理のベストプラクティスを採用することで、同じ、もしくはそれ以下の電力でより多くの計算処理を行うことが可能になるとIMDAは述べています。ベストプラクティスには、ワークロードの統合や仮想化などが含まれます。

IMDAによると、この規格はIT機器の選定と運用を最適化することにより、データセンターのIT機器の電力消費を少なくとも30%削減することを目指しているようです。例えば、最大35℃の高温環境での運用を可能にすることでエネルギー効率を高めたり、シンガポールの熱帯データセンター規格(SS697:2023)を採用することで、データセンターの運用温度を1℃上げるごとに冷却システムの電力消費を2〜5%削減できる可能性があります。

IMDAはまた、データセンター分野向けの「エネルギー効率助成金」を通じて、事前に承認されたエネルギー効率の高いIT機器の購入を利用者に対して共同出資しています。

IMDAの副最高責任者であるAileen Chiaは、次のように述べています。「データセンターは、シンガポールのデジタル経済の基盤として、イノベーションと成長を支えています。この新しいITエネルギー効率規格は、『グリーンデータセンターロードマップ』および『熱帯データセンター規格』の導入に続くものであり、データセンターの施設とITの両面でのエネルギー効率向上を加速させるものです。私たちは、持続可能なグリーンデータセンターの成長を推進するために、業界と緊密に連携し続けます。」

GovTech Singaporeの政府生産性エンジニアリング部門の上級ディレクターであるRichard Tayは、次のようにコメントしました。「GovTech Singaporeは、政府全体でICTの持続可能性を推進する取り組みの一環として、SS 715:2025のエネルギー効率基準を今後のIT一括調達に組み込みます。これにより、エンタープライズ向けIT機器の供給業者は、規格のエネルギー効率要件を満たす必要があります。」

「さらに、政府のデータセンターホスティング環境では、エネルギー効率の高いIT機器の使用を義務付けます。これらの取り組みは、公共部門のカーボンフットプリントを削減し、よりグリーンで持続可能なデジタルインフラの導入を加速させるための広範な努力の一部であり、シンガポールの長期的な持続可能性目標を支援するものです。」

また、Equinixのシンガポール、マレーシア、インドネシアにおけるIBXオペレーション部門の上級ディレクターであるGavin O’Reillyは次のように述べました。「新しいシンガポール規格715:2025は、重要な前進を示すものです。当社独自の持続可能性の取り組みに加え、この規格により、顧客と協力してIT機器およびデータセンターのエネルギー効率を向上させることが可能になります。」

W.Media ( Jan Yong 記者)より抄訳・転載

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