米国と台湾、Huawei Marineに対し太平洋諸島海底ケーブルへの低価格入札を警告

太平洋地域の国際開発プロジェクトの一環として敷設される新しいインターネット 海底ケーブル をめぐって論争が起きています。

この世界銀行とアジア開発銀行が支援するKiribati Connectivity Project(キリバス・コネクティビティ・プロジェクト)は、ナウルとキリバスの離島、パプアニューギニアの北にある島々の集まりであるミクロネシア連邦への通信リンクの改善を目的としています。

しかしロイター通信によりますと、米国はこのプロジェクトがHuawei Marineによるケーブル敷設のための値下げ入札であるとし、これが受け入れられた場合、島のセキュリティを損なう可能性があるとする公式のセキュリティ警告を発しました。

Huawei傘下から離れても、懸念は発生

Huawei Marineは2019年に中国の通信大手Huaweiからスピンアウトしたものの、別の中国企業Hengtong(亨通集団)が過半数株式を保有しており、中国の情報機関やセキュリティサービスに協力せざるを得ないと警告されています。この通信プロジェクトは、島々を米国の未編入領域として空軍基地1か所と海軍基地2か所を持つ戦略的拠点グアムを結ぶHANTRU-1ネットワークとも繋ぎます。

台湾政府はこの警告に関して繰り返しました。台湾の報道官がニューズウィークに語ったところによりますと、台湾は、中国が世界的なスパイ活動を行う目的で、太平洋地域全体の通信ネットワークの「独占」を目指していると主張しています。

これとは別に、台湾と同盟関係にあるナウル政府も近隣の島々に安全上の警告を発しています。

ミクロネシア連邦政府はロイターへの声明の中で、このプロジェクトのパートナー企業とこのセキュリティ上の懸念に関する話し合いを行ったことを認めていますが、プロジェクトが「地域の安全を損なうものではない」とし、懸念しているのは「一部」の人々だけであると付け加えています。

米国は歴史的にこの地域の島々と緊密な関係を築いてきました。ミクロネシア連邦/マーシャル諸島/パラオ共和国の3か国と米国との間で1980年に結ばれた自由連合盟約(COFA:Compact of Free Association)に基づき、島民は米国に居住し働く権利を有し、またこの3か国は米国とほぼ免税で取引することができます。

この盟約には多くの軍事的取り決めもあり、米国は島々の軍事防衛に責任を負い、国際防衛条約を管理しています。島民はまた、米軍への参加権利を有しており、ミクロネシアの島々は米国本土のどの州よりも一人当たりの入隊率が高くなっています。

Huaweiは、2008年に英国の企業Global Marine Systemsとの合弁事業としてHuawei Marineを立ち上げました。この事業体はすぐに海底ケーブル市場の主要事業者となり、これまでに約90ものケーブルプロジェクトの構築やアップグレードを行ってきました。

しかし同社は、Huaweiと同様、中国政府の世界的な政治的野望に関連するセキュリティ警告を受けるようになりました。

例えば2018年1月、オーストラリア政府はオーストラリアからソロモン諸島へのケーブルの建設プロジェクトを政府管理下に置きました。これは、本来はHuawei Marineが主導していたプロジェクトでしたが、潜在的なセキュリティリスクへの懸念の要因による動きでした。Huaweiはまた、オーストラリア全土のブロードバンドネットワークプロジェクトへの関与も禁止されています。

Data Center Dynamics

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