米インディアナ州のデータセンター、ゲーム操作のロボット農家計画を支援

データセンター事業者Digital Crossroadsは、米国インディアナ州でパデュー大学の農業技術プロジェクトを支援しています。尚、このプロジェクトは、将来的には月や火星に遠隔での作物の植え付けや収穫を行うロボットの開発を目指しているといいます。

プロジェクトは、連邦政府と民間企業から100万ドルの資金を獲得し、ゲーム技術を用いて、完熟を見極めるロボットの作り方など、難しいAIの課題解決を目指し、まずはトマト、次にイチゴで実験が行われます。また、プロジェクトでは、Digital Crossroardsが建設した4,000平方フィートのスマート温室が使用され、データセンターの廃熱によって暖められる予定です。

このプロジェクトは、(連邦政府が主導する)パンデミックの影響に対処するための726,000ドルのSprint (Scaling Pandemic Resilience Through Innovation and Technology:スプリント・チャレンジ)アワードの助成金からほとんどの資金を得ています。また、温室は、Digital Crossroadsによる27万6,000ドルの現物支援パッケージの一部です。

ロボクロップ

パデュー大学ノースウェスト(PNW)の技術学部学部長兼工学・科学部の臨時学部長であるニアズ・ラティフ氏は、「この革新的なプロジェクトを支援するうえでEDAスプリント・チャレンジ賞を獲得できたことを嬉しく思う。この変革的なプロジェクトは、雇用を創出し、経済的にもプラスの効果をもたらすだろう」と述べています。

Project Traverse(agTech Robotics, Automation and Virtually Employed Resiliently Scaling Enterprises)は、労働力不足の解消と米国農業の効率化を目的としており、高度な製造技術とロボット工学を駆使して、複数作物の遠隔植え付け・収穫の開発や試験を行います。

スマート温室は、インディアナ州とイリノイ州の州境にある旧石炭火力発電所を改造したキャンパス内の第2データセンタービルに隣接しています。データセンターの廃熱を温室に再利用することで、データセンターの排出量を相殺し、再生可能な電力源を提供します。

この温室はPNW社がリースしており、Traverseはその最初のプロジェクトとなります。Digital Crossroadのマネージング・メンバーであるトーマス・P・ダキチ氏は、「Project TraverseとDigital Crossroadのハモンド新データセンターは、インディアナ州北西部で起きている変革の素晴らしい一例である」と述べています。

本来このプロジェクトの意義は、コロナウイルスのパンデミックに伴うサプライチェーンの混乱に対処することですが、nwi.comは、このプロジェクトが人類の宇宙植民地化に役立つ可能性があると述べています。

Project Traverseの研究責任者であり、滞在中の起業家であるモン・ハンドリー氏は、nwi.comに対し次のように述べています。「私たちは、月や火星を居住可能な状態にする方法についてNASAの勧誘からアイデアを得た。高度な訓練を受けた宇宙飛行士に、温室で野菜を収穫するような肉体労働をさせるわけにはいきませんからね」

Project Traverseは、ロボットを設計するだけでなく、米国内で遠隔農業システムの製造及び修理を行う熟練労働者を育成します。「Project Traverseは、米国の数十年にわたる農産物の貿易不均衡からの回復をもたらし、パンデミックやその他の世界的なサプライチェーンの混乱時に、健康的で栄養価の高い農産物を弾力的に収穫し国民に提供し、園芸作物の遠隔管理に長けた機敏な人材を、遠隔地で安全に雇用する」とハンドリー氏は述べています。

実際のところ、このシステムは説明にあるほど自律的ではないかもしれません。果実の収穫タイミングを決めるのは、AIには難しい問題なので、このプロジェクトでは、家庭用ゲーム機を使って人間に行ってもらうことを計画しており、これが新しい職業を生み出す可能性があります。

PNWの開発担当者であるドン・バブコック氏は次のように述べています。「機械のオペレーターが遠隔操作でトマトやイチゴ、果物、野菜などを収穫する。野菜や果物を育てて、熟したら遠隔操作で収穫することができる。それがコンセプトだ。我々がインディアナ州北西部でやっているこの特殊なことを、もっと広めていく必要がある」

ハンドリー氏曰く「これはロボットの民主化であり、エアルーム農産物を栽培しているような小規模生産者にとっては、それを中古のピックアップトラックのように安価なものにする」との事。

スプリント・チャレンジは、コロナウイルスのパンデミックによる経済・健康・安全上のリスクを、起業家精神とイノベーションによって解決するために、2020年に開始されました。

Data Center Dynamics

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