米国、日本、台湾が制裁措置、ロシアへの半導体と通信機器の販売を制限

ロシアのウクライナ侵攻を受け、世界の主要3カ国がロシアの技術アクセスを遮断する動きを見せています。

米国、日本、台湾はそれぞれ、ロシアに対する経済的制裁を与えるとともに、長期的な戦争をより困難にさせる制裁措置を発表しました。

広範な金融制裁に加え、ジョー・バイデン米大統領が発表した”ロシアからの技術物資の輸入を遮断するためのロシア全体の制限” 、これには、”ロシアの最先端技術へのアクセスを遮断するために、主にロシアの防衛、航空、海事分野を対象とした機密技術の輸出 “が含まれます。

この制裁は、米国起源のソフトウェア、技術、機器を使用して外国で生産された米国の機密技術を対象としています。「これには、半導体、通信、暗号化セキュリティ、レーザー、センサー、ナビゲーション、航空電子工学、海洋技術に関するロシア全体の制限が含まれる。これらの厳しく持続的な規制は、ロシアの最先端技術へのアクセスを断つだろう」ホワイトハウスは声明でこのように述べています。

米国政府は、「最先端」や「機密」をどのように定義しているかは明らかにしていません。バイデン大統領は、さまざまなチップ制裁のシナリオ(サイバー攻撃のシナリオも含む)を検討していると考えられています。

ホワイトハウスは、EU、オーストラリア、日本、カナダ、ニュージーランド、英国が、「すでに並行して行動していく計画について議論を行っている」と述べています。

日本はロシアに対し、半導体輸出や金融機関を対象とした制裁を課すと発表しています。

岸田文雄首相は、世界第3位の経済大国である日本が「ロシアの個人・団体に対する資産凍結とビザ発給停止」、「ロシアの金融機関を対象とした」資産凍結を計画していると述べています。

さらに、「ロシアの軍事関連組織への輸出、半導体などの汎用品や国際協定に基づく制限リストの品目のロシアへの輸出を制裁する」と記者団に対し語っています。

現在世界のチップ供給の約10%を製造しているとされる日本は、世界的な半導体不足の中でロシアを切り離す動きを取っています。

これは、約8%を製造しているとされている台湾よりも多い数字です。しかし、これはやや誤解を招く統計です。世界最大の受託製造企業TSMCを擁する台湾は、世界の最先端チップの半分以上を開発しています。

その台湾も、ロシアに対する制裁を科すと発表しています。しかし、その内容やチップ販売の制限を行うかどうかなど、詳細については明らかにされていません。

中国が台湾を自国領土と主張し、過去2年間、島周辺の軍事的プレゼンスを高めていることから、台湾はウクライナ侵攻を特に注視していると思われます。

中国はロシアに制裁を加えるつもりはないようで、現在世界のチップの約9%を製造していることから、今後もロシアへの半導体供給源となる可能性があります。

ただし、注意すべき点があります。同国のチップ製造は過去5年間で大規模に拡大・進歩しましたが、技術的にはまだ台湾や米国に及びません。

米国がHuaweiとSMIC(それぞれ中国では最も進んだチップ設計とファウンドリ持つ企業)に対して制裁を加えたため、同国では高度なロジックノードを製造することができなくなっています。

また、他のしわ寄せとしては、制裁と半導体不足の狭間で、中国が自国のチップ需要に応えられなくなるという事も考えられます。

しかし、米国半導体産業協会によると、ロシアは世界の供給量の0.1%程度と、非常に小さな半導体消費国のようです。

ロシアはチップの約70%を中国から購入していると考えられていますが、これもまた、自動車や家電製品向けには問題ないものの、誘導ミサイル用途としての高度なものではない可能性があります。

また、ロシアのデータセンターとクラウド産業は、世界のサーバーの大部分を担うインテル、AMD、Nvidiaのチップから切り離されることになるかもしれません。尚、ロシア最大のテクノロジー企業であるYandexの株価は71%も下落しています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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