マイクロソフトが電力不足を理由にアイルランドでのデータセンターを縮小

代わりに北欧に注力

マイクロソフトの幹部は、アイルランドでの電力アクセスが不足しているため、データセンターへの投資を、北欧に再び集中させるようになったと述べています。

Bisnowの報道によれば、マイクロソフトのVal Walsh副社長(リース・土地グローバル担当)は、アイルランドは慢性的な送電網の問題により、この分野での「アーリームーバー(先行者)の優位性」を失い、同国でのデータセンター開発が抑制されていると述べました。

同副社長は、Bisnow主催の「Bisnow Data Centre Investment Conference and Expo (DICE)」での講演で次のように述べました。「電力網の所有者たちは、需要の増加に対応できていません。電力です。私たちは何よりもまず電力に注目します。欧州の規制や計画には非常に時間がかかり、他のどこよりも1年半も余分に時間がかかるのです。」

アイルランドのデータセンターは現在、電力消費量が突出しており、2023年には総電力量の21%を占めています。その結果、同国の送電網運営会社EirGridは、ダブリンでのデータセンター新設を事実上モラトリアム(一時停止措置)とし、少なくとも2028年まで続くとみられています。

このような状況を受けて、データセンター事業者は新しい施設の候補地として、他のヨーロッパ諸国をますます検討するようになっています。同副社長は、水力発電が利用できることと、国当局がデータセンターの開発に肯定的な見方をしていたため、北欧を有力な候補地として挙げました。

同副社長は、次のように述べました。「許認可のプロセスを、すべての人が妨げられないようにできればいいのですが、残念ながらアイルランドではそうはいきません。ダブリンではほぼ閉鎖状態で、新規顧客はまったくいません。そのため、すべての案件が他のヨーロッパ諸国へと移っているのです。」

同副社長は、発電資産とデータセンターを直接つなぐプライベートワイヤー契約が、開発を促進する役割を果たす可能性があると指摘しました。先月、アイルランド政府が、電源とデータセンター間を含む電力インフラの構築・運用を民間事業者に許可する法案を準備しているとの報道がありました。

政府内では、この新政策が新たな電力インフラへの民間投資の拡大を抑制し、送電網のスペースを他のセクターのために解放できると考えています。

昨年、Google、Amazon、マイクロソフトといった米国のハイパースケーラーが、国内の再生可能プロジェクトに直接接続するために、自社専用の電力線の建設を政府に要請していたという報道を受けての動きです。

同副社長のコメントは、アイルランドが送電網の制約に対処できなければ、AIブームに乗り遅れる可能性があるという、国内業界の懸念を改めて裏付けるものとなっています。

マイクロソフトは現在、アイルランドで17のデータセンターを運営しており、その大部分はダブリン地域にあります。アイルランドの事業に電力を供給するため、複数の再生可能エネルギー契約を結んでいます。2022年には、900MW分の電力購入契約(PPA)を締結したと報じられており、これはアイルランドの2030年再生可能エネルギー目標の約28%に相当します。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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