INTELが切り開く冷却の未来~液浸冷却

INTELは、液槽ベンダーや 流体プロバイダーそして自らの研究所に至るまで、液冷業界と共同で、コンピューティング・コンポーネントが熱伝導性の高い流体と直接接触する革新的なソリューションの開発に取り組んでいることを発表しました。

過去10年間で、エンジニアがプロセッサに施した改良により、1,000テラワット時の電力削減を達成できたと同社は推定しています。これらの進歩に加え、ファン、インドア冷却、ダイレクト・ツー・チップ冷却(direct-to-chip cooling)などの冷却技術が、熱の管理、エネルギーの節約、二酸化炭素排出の削減をさらに進めています。

しかし、これらの冷却機能はデータセンターのエネルギー消費量の最大40%を必要とします。INTELが将来的にパフォーマンスを向上させていくためには、エネルギー効率の高い方法で改善を行う必要があり、空冷はその解決策にはならないかもしれません。

そのため、液浸冷却はINTELのネットゼロ・コミットメントの一部となっています。IT機器から発生する熱の99%を、水や他のクーラント液の形で取り込むことができます。ファンの代わりに、熱は液体の中に入り、循環してエネルギーを発散させることができます。その熱を利用して、必要に応じて再利用することも可能です。

その解決策として、彼らは、最小限のスペースで沸騰能力を広げる3Dベーパーチャンバー(密閉された平らな金属製ポケットに流体を充填)や、 Nucleation site density( 金属表面に蒸気の泡を生成する)を高くすることで熱抵抗を減らす沸騰促進コーティングの改善などのソリューションを検討しています。

INTELの研究者らが追求しているもう一つのアプローチは、流体ジェットのアレイを使用して、最高出力のデバイスを冷却することです。一般的なヒートシンクや、表面上に流体を流す従来のコールドプレートとは異なり、冷却ジェットは流体を直接表面に流します。噴流を含むサーマルリッドは、標準的な蓋付きパッケージの上部に直接取り付けることができるため、熱インターフェース材料が不要となり、熱抵抗を低減することができます。マルチチップモジュールの冷却がますます困難になる中、この技術は構造ごとにカスタマイズでき、ホットスポットを効果的に狙い撃ちできるため、同じ電力で性能を5~7%向上させたプロセッサをより低温で動作させることが可能となります。

液浸冷却は革新的な技術」と、INTELのデータセンター・AIグループ(DCAI)の製品サステナビリティ最高責任者であるJen Huffstetler氏は述べています。「この技術は、エネルギーと水の使用量を削減することで、データセンター最大の課題のいくつかに対処するだけでなく、全体的な計算密度を向上させながら、お客様がTCO(総所有コスト)を改善するのに役立ちます。」

この画期的なソリューションは、革新的であるだけでなく、市場に対応し、実行可能かつテストが可能である必要があります。INTELは、データセンターのエネルギーフットプリントを削減するために、同社と世界がともに利用できるオープンなソリューションを今後5年間で開発することを目標に、これらの技術についてスタートアップ企業や学術界のリーダーと提携すると述べています。

Digital Infra Network( Michael Nelson 記者)より抄訳・転載

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