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ラック配電の簡素化【特集】

開かれた未来

Open19自体は、昨年はあまり目立った動きはありませんでした。 マイクロソフトは2016年にLinkedInを買収し、2019年に、LinkedInは自社データセンターからMicrosoft Azureクラウドに移行することを発表しました。

2020年、Covid-19に伴い渡航が制限されましたが、Open19サミットはオンライン開催はなされず、完全に中止されました。一方OCPイベントはオンラインで実施され、「Open19はたたまれた」と結論付けた人もいました。

しかし、これらの噂は大げさなものでした。 Open19には、Bachar氏が指摘する独特の機能がまだあり、LinkedInは引き続き多くのOpen19ラックを使用しています。LinkedInのAzureへの移行には数年がかかり、Open19ラック内にしばらく残されたままになります。そしてその間に、Open19ラックや配電システムの新たな支持企業が登場しました。

2019年、Bachar氏は彼のマイクロソフトにおける役割の変更に伴い、Open19の会長職をPacketのCEOであるザック・スミス氏に引き継ぎました。Packetは、Open19ラックを使用してベアメタルサービスを提供するネットワーク企業です。これは、CircleBがOCPラックで IaaS を提供する計画と同様のコンセプトです。

Packetは、Open19ラック設計の最も一般的な支持企業になりました。しかし、2019年にコロケーション大手のエクイニクスがPacketを買収し、その将来は不透明になると考えられました。同社の顧客の多くは施設のスペースを取り、その多くはクラウドサービスを提供しています。エクイニクスはIaaSに参入したでしょうか?

2020年の後半、それは実際に明らかになりました。エクイニクスは、Equinix MetalというブランドでPacketサービスを再開しました。ザック・スミス氏は現在、エクイニクスのその部門を主導しており、彼は今後標準の採用が大幅に増加していくだろうと予測しています。

スミス氏は、Open19は、電力とネットワーク用に事前配線されたIT環境で、企業顧客向けに任意の量のITリソースを迅速に プロビジョニング したい企業に最適であると考えています。そのメリットは、事前にプラグインされコモディティ化されていることですが、個々のコンポーネントのレベルまで柔軟で管理しやすい点もあります。

「大多数のエクイニクスの利用顧客は、一部のサーバがダウンしても問題がないような、100万台のサーバからなる巨大なサーバーファームは運用していない。これは、特に分散した世界の中では、多くの企業のシナリオにはない」と彼はDCDに対し述べています。

コロケーションスペースの利用ユーザにとって、ハードウェアをインストールすることは重要ですが、ハードウェアの設置後に、それの変更や管理をする機能も重要です。また、複数のデータセンターでハードウェアを運用しているユーザにとって、遠隔地での作業は問題となります。

近年、一部の企業は、「Rack and Roll:ラックンロール」と呼ばれるシステムによる完全にプリロードされたラックに移行しています。このシステムでは、ラックはすべての配線、サーバ、スイッチは事前に組み込まれ、データセンターに出荷されます。そしてそれらはケーブルで繋がれ、すぐに使用できます。

しかし、この概念を検討する際には問題がある、とスミス氏は言います。「標準的なラックを分解してみましょう。クレイジーな高密度ではないとしましょう。例えばラック毎に40台のサーバを設置し、サーバ毎に冗長電源を設け、2 x25Gbpsのネットワークポートを使用するとします。それぞれのサーバで5本のケーブルと考えると、ラック背面には200本を超えるケーブルが来ることになる」

では、事前にオフサイトでラック列の統合を行うと、データセンターの柔軟性が非常に低下します。「50万ドルから100万ドルのシリコンとメモリにすべての資本を投入し、それを活用する。決して変更しないでください。メルボルンのリモートハンド技術者がそれに触れなければならなくなると、混乱が生じます」

別の方法としては、非常に高給の技術者がデータセンターの現場に出向き、すべてのケーブル接続を行う必要があることを意味します。「これでは、サーバあたりのコストが非常に高くなる。例えば10台のサーバでシステム統合を行うデータセンターでは効率は悪くなる」

Open19のアプローチはそれを分解します、例えば電源ケーブルやネットワークケーブルはラック内に事前に組み込まれますが、一旦ラックが設置されると、専門知識がなくても高価なテクノロジーを導入することができるようになります。

「基本的には、大規模な資本で、CPUやメモリを導入する時とは異なり、少資本で、板金やケーブルを導入できるとしたらどうでしょう?」とスミス氏は言います。「ケーブリングや板金を正しく行い、高価なパーツをより段階的に、よりジャストインタイムで追加するために、我々は数十万ドルではなく、数千ドルについて話している」

これは、実際には、Menno Kortekaas氏がMaincubesでリニューアルしたOCPキットで約束したのと同様のメリットをうまくまとめたものです。アムステルダムでの彼のリモートハンズは、スミス氏が計画する、Equinix Metalの配備を行うエクイニクス技術者部隊のより小規模なバージョンです。どちらのシステムも、オンデマンドで事前配線されたインフラストラクチャを提供します。

アムステルダムはエクイニクスがMetalの提供を行う最初の4市場の1つでもあるため、2つのモデルは物理的にも近接しています。

エクイニクスは2019年にアムステルダムのデータセンターを取得しました。当時、Switch DatacentersのAMS1はCircle Bの最初のOCPエクスペリエンスセンターの拠点でした。この事が、Circle Bが現在のMaincubesの拠点に移転した理由です。

事前配線ラックに基づくIaaSが普及すれば、ヨーロッパにおけるOCPの主なショーウィンドウであった一つのモデル(Open19配線)が別のモデル(OCPバスバー)に置き換わる可能性があります。Kortekaas氏は苦笑いします。

Data Center Dynamics

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【参考】当サイトの運営会社DC ASIAの親会社である共同カイテックは国内メーカーとしてバスダクト製品の製造販売を行っています。詳しくはこちら

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