【特集記事】国内企業・データセンターが抱えるシステム問題と向かうべき方向性
データセンター運用の課題と今後の展望
データセンター業界においても同様の問題が存在します。今でも多くのデータセンターでは各部門でそれぞれ異なる独自のシステムを使い、データセンターのインフラ管理を行っています。
そこにはスクラッチ開発システムも存在します。あるいは、Excelの機能を駆使して作り上げられた管理台帳も多くの企業で使われています。これもいわばセルフメードのスクラッチシステムと言えます。
もうひとつ、システムが複数に分かれていて、統一されていないという問題も存在します。
複雑なデータセンターインフラ設備を維持管理するのは困難です。管理すべき範囲は非常に多岐に渡ります。結果、複数のシステムや台帳に分けて管理するしかなく、それらは全社・各部門間で共通するデータベースとしても機能していないばかりか、一部門内でも共通化されていません。
DC ASIAが各社にヒアリングした結果によると、データセンターのインフラ運用部門が利用しているシステムや台帳は、少なくとも3~5種類、もしくはそれ以上に分断されていました。
設備の監視に BMS (中央監視システム)や、その他の監視ソフトウェア、設備や機器アセットの管理の為に資産管理システム、あるいはネットワーク監視システムや配線管理の為のExcel台帳等々、のような実態です。
バラバラに分断されたシステムや台帳による運用は運用効率の低下とともにビジネススピードの低下、あるいは障害につながる運用リスクの懸念があります。
事実、これは各社の運用部門が抱える課題として認識されています。
今やデータセンターにおける運用課題は非常に大きな問題となってきています。
海外では成功事例も
Uptime Instituteが公開した2018年のGlobal Data Center Surveyレポートでは、調査回答者の半数以上(54%)は、何らかのパッケージ型 DCIM (データセンターのインフラ設備を統合的に運用管理するシステム)を導入したと回答しました。
しかもこれらのユーザーの75%が導入に成功したと答えています。
ちなみに成功と答えた多くの企業は、業務をソフトウェア・システムに合わせる文化が定着している欧米企業であると思われます。
このようにいくつかの先進的なデータセンターでは、 パッケージ型DCIMソフトウェアの導入により、ビジネススピードを加速しつつ全体最適を進め、成功を収めつつあるようです。
国内のデータセンター事業者も、今後過酷な国際競争に勝ち残っていくために、旧来のスクラッチ開発型のソフトウェアや、バラバラに散在した運用から早急に脱却し、全体最適化された統合型のパッケージ型運用管理ソフトウェア、システムに切り替えていく必要があります。
DCIMソフトウェア一例
DCIMソフトウェアは、統合監視(L2/受動的)及び資産管理や配線管理などの情報を包括的に管理する運用管理(L3/能動的)の2種類に大きく分類されます。
参考文献:
経済産業省:デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会の報告書『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』
富士キメラ総研:「業種別ITソリューション市場 2019年版」
TechTarget: 「スクラッチ開発」は時代遅れ? 「クラウド」「パッケージ」へ移行進む
DC ASIA 岩崎 和幸
~ 株式会社DC ASIAでは、一般企業やデータセンターにおけるこのようなインフラの運用課題の改善に向けた、統合運用管理システム(オンプレミス型・クラウド型DCIM、 OSS 導入支援を含む※計画中)をより多くのユーザー様にご活用頂く為の提案を行っております。
詳しくは弊社ホームページにてご覧ください。
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