ソフトバンク、ルワンダで5G HAPSトライアルを実施

高高度ドローンがルワンダと日本の5Gビデオ通話を実現

ソフトバンクは、ルワンダ上空の成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)から5G通信実験を実施しました。

ルワンダ政府とソフトバンク株式会社は今週、2023年9月24日に、ソフトバンク独自の5G通信ペイロードの成層圏(地表から4〜12マイル(6〜20km)上空から約31マイル(50km)上空)での試験に成功したと発表しました。

この装置は、太陽電池駆動のHAPS無人航空機(UAV)プロトタイプに搭載されました。

通信ペイロードは、最大高度16.9kmの成層圏で約73分間、5G接続を継続的に提供しました。

この飛行により、ルワンダのテストサイトにある未改造の5Gスマートフォンと、日本にいるソフトバンクのチームメンバーとの間で、5GベースのZoomビデオ通話が可能になりました。

ソフトバンクによると、今回の飛行は、6月に成功した試験飛行に続き、成層圏でHAPSプラットフォームから5G接続を実現した世界初の公の発表となりました。

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川潤一氏は、次のように述べています。「 ソフトバンクの5G対応のペイロードが、成層圏で期待を上回る性能を発揮したことを、大変うれしく思っています。われわれはHAPSをはじめとするNTNソリューションを活用し、デジタル格差の解消を目指していますが、今回の試験結果は、その目標に向けた重要な一歩となります。ルワンダ政府の継続的な支援に感謝するとともに、引き続き協力して、商用化に向けたユースケースに取り組むことを楽しみにしています 。」

ルワンダ共和国のICTイノベーション大臣であるポーラ・インガビレ氏は、「 今回成功した成層圏からの5G通信試験は、非常に将来性がある取り組みです。この取り組みは、革新的なソリューションによってデジタル格差を解消し、誰もがデジタル技術を享受できる『デジタル・インクルージョン』を実現するための、重要な一歩となります。 」

HAPSは、飛行船、気球、固定翼ドローンのいずれであっても、セルタワーや衛星の初期費用や専門的な受信機を必要とすることなく、農村部や接続されていない地域に接続性を提供する方法を提供します。これらの無名ドローンは、一度に数ヶ月間、広範囲をカバーすることができることを目指しています。

ソフトバンクの子会社であるHAPSMobile Inc.とルワンダのICT・イノベーション省は、2020年7月にルワンダでのHAPS開発に関する覚書に初めて署名しました。

試験終了後、ソフトバンクとルワンダ政府は、ルワンダおよびアフリカの他の地域でのHAPSの潜在的なユースケースと商業的導入を検討する予定です。検討中のユースケースには、インターネット接続のない農村部の学校やコミュニティの接続が含まれます。

ソフトバンクは、2017年に米軍用ドローン企業AeroVironmentと共同で設立したHAPSMobileを同社に吸収し、プラットフォーム開発を継続しながら、同部門を解散する手続きを進めています。

同社は最近、最新世代のHAPSプラットフォームのサブスケールモデルのテスト飛行を実施しました。HAPSMobile社とAeroVironment社によって開発されたサングライダーの現行バージョンは、2020年9月に実施された試験飛行で成層圏に到達することに成功しました。

ソフトバンクはHAPSのほかにも、地球低軌道(LEO)と地球同期軌道(GEO)の両方の衛星会社、さらにはエアロスタット(テザー飛行船)にも投資しています。同社はまた、Googleの高高度プロジェクト「Loon(ルーン)」にも投資しており、同プロジェクトの閉鎖に伴い、その特許の一部を取得しました。

HAPS分野の他のプレーヤーには、BAE、Airbus、Avealto、Stratospheric Platforms、Sceye、そして夏にルワンダでHAPSのテスト飛行を完了したMira Aerospaceなどがいます。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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