Meta社のギャラティンデータセンターでキノコが建物の廃棄物を食べる

菌類を使って ドライウォールの廃棄物を分解し、有用なものにする試験実施

Metaは、テネシー州ギャラティンにある急拡大中の拠点で、キノコを使って建築廃材を有用な製品に変えるアイデアをテストしています。

Facebookを所有する同社は2022年以来、ゼロウェイストの専門企業Mycocycleと協力して、ドライウォールの残骸やゴミを食べ、新しい建築工事のための有用な原材料に変えることができるキノコの利用をテストしてきました。Metaは、その購買力を生かして、このプロジェクトをより大規模なテストに拡大し、新たな循環経済型建材につなげたいと考えています。

DCDは、Metaが公開したビデオで共有されている以上の詳細について、両社に問い合わせました。

建設業では、解体・改造された建物から撤去された材料など、大量の建築廃棄物が発生し、米国では毎年約6億6千万トンが埋立や焼却に回されています。

石膏(硫酸カルシウム二水和物)を紙で束ねたパネルからなるドライウォールは、英国ではプラスターボードと呼ばれ、このゴミの主要な部分を占めていますが、現在、簡単にリサイクルする方法がありません。Metaは現在、毎年何トンものドライウォールの残骸を廃棄しています。

ドライウォールは埋立地に捨てられると、分解して敷地内の他の材料と反応し、強い臭いが発生したり、硫化水素やアンモニアが放出され、健康上のリスクが生じます。

Metaは2022年、他の建築製品に転用できる有用な副産物を生み出すことを目的に、キノコを使ってドライウォールの残骸を食べる専門企業Mycocycleとのテストを開始しました。建設会社のDPRもこのプロジェクトに参加しています。

Mycocycle社の科学責任者であるDaniel Reyes氏は、Metaのビデオの中で、「キノコはドライウォールの上で成長すると、その菌糸の根が材質を貫通し、それを分解して、『栄養となるより単純な形態に還元する』」と述べています。「私たちは、菌糸体を使って石膏のドライウォール を新しい菌糸体複合材に変えるパイロットプロジェクトの最終製品を見ています。」

最終的な製品は、断熱材や音響パネルなど、他の建築用途に使用できる可能性があると彼は言います。

Meta は現在、大手建築メーカーと協力してこのアプローチをさらに検証しており、Meta の購買力を利用して循環型市場の建築資材の生産を刺激する可能性があると述べています。

キノコが作る菌糸は、以前にも建材の代替品として提案されたことがあります。例えば、マイクロソフト社がスポンサーとなり、ワシントン大学のカーボンリーダーシップフォーラム(Carbon Leadership Forum : CLF)が作成した研究でも、そのような提案がなされています。その研究では、土、麻、藻類が持続可能な建築資材を生産できることも示唆されています。

Mycocycle社によると、キノコをベースにした製品は、強度、耐火性、防水性を持たせることができ、建築物における石油ベースのプラスチック材料に取って代わる可能性があるといいます。

マイクロソフトが出資したワシントン大学の研究では、菌糸管をベースにした材料は、一部の構造用鋼材に取って代わるほどの強度を持たせることも可能だとまで言っています。

MycocycleのCEOであるJoanne Rodriguezは、「Meta/Mycocycleプロジェクトのような取り組みは、建設業界にとって非常に重要です」と述べています。

DPRのサステナビリティ・マネージャーであるJennifer Carlandも同意見です。「ドライウォールの廃棄は大きな問題なので、この取り組みはとても重要です。」

Mycocycleは、アスファルト屋根板など、他の建築廃棄物の処理を支援するキノコも訓練しています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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