宇宙データセンター構想に「荒唐無稽」「AIのまやかし」「狂気の極み」と批判相次ぐ

Sam Altman、Gartner、Jim Chanosが、大規模な軌道上コンピューティング計画に異を唱える

宇宙を拠点とするデータセンターについて、今週、著名な人物たちから相次いで強い批判が寄せられています。

今週、Sam Altman、分析会社のGartner、空売り投資家のJim Chanosが、それぞれ軌道上データセンターは狂気の沙汰だと述べました。

OpenAIのCEOであるSam Altmanは、「現在の状況ではばかげている(ridiculous … with the current landscape)」という表現を使いました。 空売り投資家のJim Chanosは、「AI Snake Oil(AIのまやかし)」と評し、さらに、GartnerのVPアナリストであるBill Rayは、「peak insanity(狂気の極み)」という表現を選びました。

Bill Rayは、今週公開されたGartnerの報告書「Orbital Datacenters Won’t Serve Terrestrial Needs, so Focus on Earth(軌道上データセンターは地上のニーズに応えないため、地球に集中すべき)」の中で、次のように記しています。「企業は、経済性が成り立たないにもかかわらず、資金を軌道上データセンターという『バブル』につぎ込み、お金を無駄にしています。これは、ハードウェアを宇宙に打ち上げるコストが法外に高いこと、そして宇宙という真空環境でこれらの軌道上データセンターを冷却することが極めて困難であることが理由です。」

Gartnerは、その他の問題点として、宇宙仕様の太陽電池パネルは地上モデルの1,000倍のコストがかかること、国際宇宙ステーションで使用されているアンモニア配管による冷却方式、そして軌道上の温度が100〜400ケルビンの範囲にあり、これは地球上で観測された最も極端な温度(184k〜329k)よりも大幅に上または下となることを指摘しました。報告書では、海中、北極圏、もしくは地球上の砂漠に設置されるデータセンターのほうが、より適した環境となる可能性が高いと推測しています。

同氏はまた、このような宇宙データセンターを実現するには、エンジニアを宇宙へ送り、さらに地球へ戻すためのロジスティクスが必要になると述べました。さらに、雲が広範囲に広がる地球環境ではレーザーを用いた軌道からのデータ下り通信に限界があるため、宇宙データ処理は基本的に宇宙で利用されるアプリケーション向けに最も適していると説明しています。

Bill Rayは報告書に、次のように書いています。「この技術は最終的に、宇宙で生成され宇宙で消費されるデータのみに対応するよう進化するでしょう。たとえば、衛星画像の雲を除去してから送信する処理や、通信のための複雑なメッシュルーティングの管理などが挙げられます。」

そもそも、なぜこの話題がここまで語られているのでしょうか。

多くの企業は、数年前から軌道上コンピューティングに注目してきましたが、このアイデアへの熱気が本格的に高まったのは昨年のことです。ジェフ・ベゾスが昨年10月、トリノで開催された「Italian Tech Week」の公開対談でこの構想について語ったことがきっかけでした。同氏はその場で、「データセンターは、宇宙で建設したほうがよくなるでしょう。宇宙には、24時間365日使える太陽光があるからです」と述べました。

その後の数か月で、このアイデアは投資家コミュニティや、より熱狂的な宇宙系スタートアップの間で人気を高めました。その結果、イーロン・マスクが、統合後のSpaceX/xAIの事業目標としてこの構想を支持する展開にもつながりました。

2025年11月には、GoogleがProject Suncatcherを発表し、GoogleのCEOであるSundar Pichaiは、早ければ2027年にもデータセンターを宇宙に配置することになるだろうと語りました。

Jim Chanosは、この構想を説明するSpaceXの動画を引用し、次のように書きました。「これは、シリコンバレーのプロモーター層による、さらなるAI Snake Oil(AIのまやかし)だ。」同氏は、宇宙への打ち上げ費用、保険、冗長性、そして宇宙放射線対策のコストが、地上の電力コストをはるかに上回るという、動かしがたい事実を指摘しながらこのように主張しました。

一方、Sam Altmanはニューデリーの地元メディアとの会話で、宇宙データセンターの話題を取り上げた際、聴衆の笑いを誘いました。同氏は、次のように説明しました。「正直に言うと、現在の状況でデータセンターを宇宙に置くというアイデアはばかげていると思います。…いつかその時は来るでしょう。宇宙は多くのことにとって素晴らしい場所です。しかし、軌道上データセンターがこの10年で大規模に重要になることはありません。」

では、「今でないなら、いつなのか?」

Italian Tech Weekでは、ジェフ・ベゾスは自らの期待を抑えつつ、軌道上データセンターが「20年以内」に現実になるだろうと述べました。これは、多くの予測が通常3〜5年のリードタイムを好むことを考えると、かなり長めの期間です。

これまでの取り組みは、「データセンターと呼べる宇宙技術」を実際に信頼できる形で作り上げるという、巨大なエンジニアリング上の課題を回避してきました。その代わりに、機載処理を搭載した衛星や、衛星コンステレーションをまるでデータセンターであるかのように見せるためのマーケティングに、重点を置いてきたと言えます。軌道上データセンターを、実現可能にする具体的な技術コンセプトについての議論は、ほとんど行われていません。

Jim Chanosは、宇宙データセンターに関して希望やポジティブな見解を一切示さず、現実に立ち返るべきだという緊急性を強調しました。

イーロン・マスクが率いるSpaceXは、100万基のデータセンター衛星を打ち上げる構想を、提案しています。この動きに続こうとしている企業には、Amazon Leo、Blue Origin、Google(Project Suncatcher)、Axiom Space、NTT、Ramon.Space、Sophia Spaceなど、多くの企業が名を連ねています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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