Cloudflareのストレージサービス「R2」、クローズドベータで100ペタバイトのビジネスを獲得

Amazon Web Services（AWS）のS3に対抗するCloudflareのR2オブジェクトストレージサービスのクローズドベータ試験において、9000人の顧客がサインアップしたと、同社が決算発表の場で明らかにしました。

R2サービスは、S3よりも安価なストレージを提供し、Amazonがデータの下り通信を求める顧客に課す高額な「エグレスチャージ（egress charges）」は発生しません。2021年10月にクローズド・ベータトライアルが開始され、それ以来、顧客は数百ペタバイトのデータを送り込んでいるとCloudflareが先週、アナリストとの電話会議の中で述べていたと、DatabankのChristian Kochが彼のFoundations ニュースレターの中で報じています。

R2サービスは第2四半期にオープンベータに移行し、2022年後半には本格利用開始の予定となっています。

AWSを眠らせない？

電話会議では、コンテンツデリバリーネットワーク（CDN）を主力サービスとするCloudflareが50%の成長を遂げ、第4四半期の売上が$194Mに達したとの報告がありました。同社のネットワークの総容量は121Tbpsに達しています。

「S3互換の安価なオブジェクトストレージを提供することで、R2はAmazon S3からシェアを奪うことを視野に入れた新たなクラウドオブジェクトストレージプロバイダーである」と、2021年のR2発足時にアナリスト企業Taloflowの創設者であるLouis-Victor Jadavji氏はコメントしていました。「Amazon S3は強力でAWSのエコシステムに深く組み込まれている一方で、使用料が高いため、この価値提案は多くの開発者に響くものである。また、AWSは2016年以降、Amazon S3の値下げを一切行っていないが、一方で他の主力サービスのいくつかは大幅な値下げを行っている」

Cloudflareはまた、R2サービスには、AWSがS3サービスからデータを移動させたい顧客に課す、高額で批判の多いエグレスチャージがかからないとしています。少なくともR2のベータ版では、データの下り通信への料金は発生していません。また、読み取り/書き込み操作に対する料金も低く設定される予定です。これらの料金は、Amazon S3の標準的なストレージ料金である$21/TBから$23/TBに上乗せされるものです。

「Amazon S3の運用とデータ転送のコストは高いだけでなく、ゾーン、リージョン、ティア（クラス）などにまたがり理解し最適化するのが複雑なことで悪名が高い」とKoch氏はコメントしています。

ただし、バックアップやリカバリのためにAWSのAccessやGlacierストレージクラスを利用したり、Amazon S3 Glacier Deep Archiveの低速で非常に安価なアーカイブサービスにリンクしている顧客にとっては、Amazon S3が有利になることもあり、選択は複雑になるとJadavji氏は指摘しています。Amazon Athenaのような他のAWSサービスを使っている人も、S3にこだわった方が良いかもしれません。

価格重視のユーザーにとっては、Backblaze B2、Wasabi、Storj DCSなどのさらに安価な選択肢があります。しかし、ストレージ容量に応じて21/TBから23/TBの間では、Amazon S3 Standard Storageよりかなり割安になります。

もう1つ考慮すべき点は、信頼性です。Cloudflareは、他のCDNと同様、大規模な障害に見舞われたことがあります。AWSももちろん苦しんでおり、2021年末には顕著な障害が発生しました。Jadajvi氏によると、CloudflareのCDNは稼働時間（アップタイム）の指標が “概ねAmazonのCloudfront CDNと1％ポイント以内 “であると話しています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。