フィリピンはバタアン原子力発電所をデータセンターにすべき ~地元知事が発言

フィリピン唯一の原子力発電所を稼働させず、データセンターにすべきだと、地元政府の指導者が主張しています。

バタアン原子力発電所(BNPP)は1980年代に完成したものの稼働はしておらず、30年以上眠っています。一部の関係者は稼働開始を求めていますが、他の関係者は、この場所はより良いデータセンターになり、政府の投資はより近代的な原子力技術に向けられるべきであると主張しています。

今週行われた気候変動サミットで、バタアン州知事ホセ・エンリケ・S・ガルシア3世は、地域と国家は原子力技術、特に小型モジュール炉(Small Modular Reactors: SMR)に対してオープンであるべきだとコメントしました。

ガルシア知事は、老朽化したBNPPを稼働させるかSMRを採用するかの選択を、車の購入に例えています。「1985年型と2022年型のトヨタカローラのどちらかを選ぶとしたら、あなたはどちらを選びますか?」

知事はまた、この地域の蛾の巣のようなバタアン原子力発電所は、データセンターに転用した方が良いと指摘しています。

「既存の発電所を復活させるのではなく、新しい技術に移行すべきだ。収益、雇用創出、実際の経済効果という点で、バタアン原子力発電所をクラウドコンピューティング施設に転換することが、この地の潜在的な可能性である」

ガルシア知事は、これは国内最大級の施設になる可能性があり、また十分な水冷環境が利用可能であると述べています。さらに知事は、Nautilus(ノーチラス)の事例を挙げ、それが河川からの水冷を利用していることも、利用可能な技術の一例として挙げました。

「原子力発電所以上に安全で強固な構造物があるだろうか?BNPPの敷地は安全性が確保されており、データセンターにとって最も重要な水冷設備を備えている」とガルシア知事は言います。

BNPPは1976年に建設が開始されました。この621メガワットの発電所は、工事の遅延と膨れ上がったコストにもかかわらず1980年代半ばに完成し、長らく同国の最大の対外債務の源泉となっていましたが、一切稼働はしませんでした。

数十年間眠っていたにもかかわらず、国内にはこの発電所を稼働させたいと考える人がいます。ネグロス東部のアルノルフォ・テベスJr.下院議員は最近、下院法案第2921号(2022年フィリピン原子力法)を提出し、国のエネルギー需要を満たすために発電所を利用する可能性を探るよう政府に要請しました。

フィリピンのエネルギー省は、発電所の復活を求める声に直面し、2017年に同施設をデータセンターへ転換するよう初めて提案しましたが、当時この提案は支持を得られませんでした。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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