Kioxia/Western Digitalの3D NAND工場で不純物混入、6.5エクサバイト以上が失われる

NANDの供給に深刻な影響を与え、価格上昇を引き起こす可能性がある

Kioxia(キオクシア)とWestern Digital(ウエスタンデジタル)が共同で運営する半導体製造工場で、3D NAND不揮発性フラッシュメモリの製造に不純物が混入した化学物質が誤って使用されていたことが判明しました。

この問題は、少なくとも6.5エクサバイト、潜在的には世界の供給量のかなりの割合を占める16エクサバイトのNANDの供給に影響を及ぼすと見られています。

両社は、三重県四日市市と岩手県北上市で日本国内に6カ所の工場を運営しています。すべての工場で供給元不明の未確認の化学物質が使用され、生産が汚染されました。現在、生産復旧のための対策が進められています。

ウエスタンデジタルは声明で、「現時点での影響に関する評価では、少なくとも6.5エクサバイトのフラッシュの減少」であるとしています。これは、同社が第4四半期に販売したNANDの4分の1以上に相当します。

しかし、ウェルズ・ファーゴのアナリストであるAaron Rakers氏は、ウエスタンデジタルはこの工場の生産量の約40%しか取っていないと指摘しています。キオクシアの損失率が同じであると仮定すると、合計で16エクサバイトが失われたことになります。

また、復旧作業にどれくらいの時間がかかるのか、システムやパイプを洗浄するために生産ラインを停止する必要があるのかどうかについてもわかっていません。これは今後の供給にも影響を与える可能性があります。両社は、世界のNAND型フラッシュメモリのおよそ3分の1を供給しています。

幸い、事故前のNANDフラッシュ市場は、若干の供給過剰になることが決まっていました。「ウエスタンデジタルの材料汚染問題の影響は大きく、また、以前パンデミックに伴い西安がロックダウンされた際のサムスンの経験も、NANDフラッシュの価格下落を遅らせている」アナリスト会社のTrendForce(トレンドフォース)はこのように指摘しています。

同社はさらに、「今回の事故の影響で、第2四半期のNANDフラッシュの価格は5~10%急騰する可能性がある」と述べています。

尚、2次元NANDの製造は、この事故の影響を受けていません。

ここ数年、多くの”ブラックスワン現象”が半導体製造工場を襲っており、特に世界的に続く半導体不足を緩和するために働いているチップ工場にとっては痛手となっています。

その中でも テキサス州の大寒波によるサムスン、NXP、インフィニオンの工場が被災し、日本ではルネサスの工場が火災に見舞われ(ドイツのASMLの工場も同様)、台湾では停電干ばつがTSMCを襲い、ドイツでは風船で工場が閉鎖、今年は地震の影響で日本の東芝チップ工場2か所が操業停止に追い込まれました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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