IBM、Powerアーキテクチャをオープンソース化

「ムーアの法則を救うためのチップ技術 のオープンソース化」

IBMは、パフォーマンスの向上に向けて業界から広く支援を募る目的で、Powerコンピューターアーキテクチャの一部を オープンソース 化しました。

IBMは、プロセッサと接続ハードウェアデバイス間のデータフローを改善することで、チップ設計の進化が減速している業界全体の危機を解決したいと述べています。

これは、世界最速の スーパーコンピューター の2つ、米国エネルギー省(DOE)の”サミットシステム”と”シエラシステム”の構築段階で生まれた考えに基づいています。 尚、双方ともPowerアーキテクチャ( RISC テクノロジーを採用したCPUファミリー )を使用しています。そこで同社はPowerアーキテクチャの命令セットとインターフェースの権利を一般に開放することで、業界全体で同じ問題に対処する方法を見つけてもらうよう求めました。同時にソフトウェアとハ​​ードウェアのリファレンスデザインも公開し、データセンターなどの一般的なハイパワーコンピューティング環境に技術的なブレークスルーが実装されることを期待しています。

Power to the people

ムーアの法則 ~ 技術革新は2年ごとにCPUの能力が2倍になる~という有名な法則は1970年代初頭から続いていたが現在では減退している、とOpenPOWER Foundationのゼネラルマネージャーのケン・キング氏はブログで述べています。また現在では人工知能、データ分析、 クラウドコンピューティング が、CPUと他のシステムハードウェア間のデータ通信により大きな需要をもたらしています。

米国エネルギー省(DOE)のコンピュータにおける重要な側面は、Open Memory Interface( OMI )とOpen Coherent Accelerator Processor Interface( OpenCAPI )を使用した、CPUと接続されたデバイス間のデータフローの高速化でした。

これらのインターフェイスとそのプロセッサ命令セットを業界に対し自由な利用権利を与えることは、「 AI のような新たなワークロードのパフォーマンス・ボトルネックを克服するために重要である」とし、また「プロセッサと接続デバイス間のメモリ帯域幅を最大化する」のに役立つであろうとしています。米サンディエゴで開催されたLinux Foundation Open Source Summitで行われた発表で、IBMは、Linux Foundationに対し、Powerアーキテクチャを管理する傘下機関であるOpenPower Foundationのコントロール権利も与えました。

昨年のIBMによるオープンソースシステム・ソフトウェアハウスのRed Hatの340億ドルの買収に合わせるようなこのオープン化の動きにより、Powerは「ハードウェア基盤からソフトウェアスタックに至るまでの完全にオープンなシステムスタックを誇る唯一のアーキテクチャになった。」とキング氏はプレスにこう説明しました。Powerシステムは、依然としてIBMの商業的財産の位置づけです。

一方、オープンなハードウェアを開発するトレンドもあります。IBMは、インターフェースと命令セットをオープン化することで、ライセンス費用なしで実装する権利を得られるとしています。

この動きをサポートする協賛企業として、ザイリンクスのデータセンターグループや、Powerアーキテクチャを使用するパブリッククラウドプロバイダーであるNimbixがあります。

バルセロナ・スーパーコンピューティング・センターのディレクターであるマテオ・ヴァレロ氏は、オープンアーキテクチャがオープンハードウェアの動きを助け、革新的な新しいプロセッサとアクセラレータの自由な開発を促進する、とIBMの声明の中で述べています。サムスン電子は、この動きはイノベーションを刺激すると述べています。その他関連サポーターとして、Nvidia、Mellanox Technologies(=SummitとSierra双方のパートナー)、Hitachi IoT&Cloud Services、およびOpen Compute Project( OCP )が参加しています。

先に述べたように、IBMは、オープンソース・ソフトウェアプロジェクトを管理するグループであるLinux Foundationに、オープンテクノロジーの管理を一任しました。

そのLinux Foundationのエグゼクティブディレクターであるジム・ゼムリン氏は、プレスリリースで、開発者がより多くのPowerツールとテクノロジーにアクセスできるようになることは、イノベーションを促進するであろうと述べています。

IBMのPower CPUで採用した RISC (縮小命令セットコンピューティング)テクノロジーは、RISC-V(カリフォルニア大学の学者によってオープンソース化された命令セット)としても共有されました。中国の巨大インターネット企業であるアリババは、このテクノロジーを商用AIチップに組み込みました

POWER ISAのソフトコア実装により、開発者は命令セットを修正し、独自のバリアントを作成できます。IBMは、 2013年にまずPowerの一部をオープンソース化し、インターフェースプロトコルをオープンスタンダードとしました。最新の動きとしては、 OMI と OpenCAPI インターフェースへのリファレンスデザインを公開しています。OpenPower Foundationは、Linux Foundationに引き継がれました。

Powerの最新バージョンであるPower9は、オークリッジ国立研究所のSummit(サミット: エクサスケールコンピューターシステムへの足掛かり)とローレンスリバモア研究所のSierra(シエラ)の両方で使用されています。どちらのシステムもNvidia GPUとMellanoxネットワークチップを使用しています。

Data Center Dynamics

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