ISISとの交渉で派遣されたエリクソンの従業員が拉致されていた

スウェーデンの通信大手エリクソンが、イラクの「イスラム国」が支配する地域に契約社員を送り込み、そのうちの何人かが拉致されていた事実が判明しました。

この事実は、エリクソンがISISに金銭を支払い、テロ集団が支配する地域での活動や移動を許可していたことを認めざるを得なくなった事で判明しました。同社が今月初めにその犯行を認めた後、同社の株価は14%以上下落しました。

国際ジャーナリスト連合が入手し、 BBC News Arabicにより確認されたエリクソンのリーク報告では、同社はISの支配地域に請負業者を送り込んだと話しています。

2019年の汚職・贈収賄に関する内部調査によると、2014年6月にISISがイラク第2の都市モスルを占拠した後、エリクソンの上級弁護士がイラクでの同社の事業を停止するよう提言したといいます。しかし、その行動は「時期尚早」であり、同国におけるエリクソンのビジネスを「壊す」と主張する上級管理職によって却下されました。

その後同社は請負業者に現地での事業を続けていくことを主張させ、彼らの命を危険にさらしていたことが報告書で明らかになりました。人質に取られた契約社員の数は公表されていません。

ドイツの公共放送局NDRで、ある者はエリクソンの代理としてモスルに派遣され、そこで事業を継続する許可をテログループから得るよう求めたと語っていました。その代わりに、彼は銃を持ったピックアップトラックに拉致され、(ISISは)彼の携帯電話を使ってエリクソンのマネージャーに電話をかけ、この地域で事業を行うには240万ドルを支払うよう要求しました。そしてもし支払わない場合は、ISISが他の従業員を捕らえ人質にすると脅しました。

請負業者の担当は自宅軟禁され、エリクソンのマネージャーはその後、電話に出なくなったと主張しています。「彼は私を見捨て、電話を切り、姿を消した 」

彼は1ヶ月後に釈放されましたが、エリクソンが手助けをしたとは考えてはいません。しかし、報告書では、同社のパートナーの1人が、彼の解放を勝ち取り、同社がモスルでの仕事を継続できるようISと「取り決め」を行ったとされています。同社はその手配がどのようなものであったかは明らかにしていません。

同社はまた、政府の検問所を避けてISISの領土を通過する高速ルートを使用できるよう、テロリスト集団に賄賂を贈ったとみられています。

この通信事業者は、偽装契約、膨れ上がった請求書、偽造された財務諸表を使って、ISISと地元の権力者たちに数百万ドルを流し、その数百万ドルはまだ使途不明となっています。

モスルのある政府高官はICIJに、「エリクソンは何が起きているのかよく知っていた」と語っています。「ISISと直接取引するようなまともな人間はおらず、みな下請け業者を通して取引している。過激派は、モスルでのプロジェクトや仕事で支払われるすべてのセントから、何割かを取る。こうして彼らは何百万も積み上げていったのです」

報告書では、イラクのほか、レバノン、スペイン、ポルトガル、エジプトでも不正の疑いがあることがわかりました。また、アンゴラ、アゼルバイジャン、バーレーン、ブラジル、中国、クロアチア、リビア、モロッコ、米国、南アフリカでの従業員による贈収賄、マネーロンダリング、横領の可能性を調査していることがスプレッドシート上で示されていました。これらの調査については、これまで公表はされていませんでした。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。