ロシアRostelecom、機器不足でデータセンター開発を中止

ウクライナ侵攻による大手ハイテク企業の撤退で、ロシアのデータセンター産業は機能停止に

ロシア最大のデジタルサービスプロバイダーであるRostelecom(以下ロステレコム)が、機器の入手難を理由にロシア西部の「中央連邦管区」のデータセンター開発を中止すると発表しました。

同社は現在、モスクワやサンクトペテルブルクなど、完成間近のプロジェクトを完了させるために、利用可能な機器を使用することに注力しています。

ウクライナへのいわれのない侵攻により、現在、欧米の大手技術系サプライヤーのほとんどが同国での販売を一時停止しており、中には完全撤退した企業もあります。中国を除くAPACの数多くの企業も販売活動を一時停止している状況です。

今月初めには、IBMシスコ、HPEがロシアからの撤退を発表しました。

インテルAMD、Nvidia、およびTSMCは、いずれもロシアへの販売を一時停止しています。グーグル、マイクロソフト、オラクル、アップル、ネットフリックス、セーバー、エリクソン、SAPインフォシス、アトス、ペイパル、マスターカード、ビザなどの企業も、同国での業務を現在停止しています。先月、シーメンスも同国からの撤退を発表し、シュナイダーエレクトリックもロシア事業を現地管理会社に売却すると発表しました。

ロステレコムは、米国及び英国政府からの制裁も受けており、一方でEUも同社の社長に対する制裁を課しているため、その他のロシア系データセンター企業よりもさらに困難な事業運営に直面しています。

ロステレコムはKommersantに対し、「市場の状況が安定するのを待つために プロジェクトを一時停止している」とコメントしています。

データセンター及びクラウドプロバイダーのOxygen社の創業者Pavel Kulakov氏は、昨年注文したコンポーネントが未だに到着していないと地元メディアで語っています。その中には、サーキットブレーカー、ファンユニット、ディーゼルエンジンなどが含まれているとのことです。「サーバー機器についてはさらに困難で、ごく少量しか納品できていない」と彼は話しています。

供給が限られていることで、コロケーションの賃貸価格は平均25%上昇したと考えられています。既存データセンターの運用維持が難しくなるにつれ、その価格は上昇し続ける可能性があります。

ロシア政府も増え続ける監視データの保管を考えているものの、自前の施設ではスペースが足りなくなってきている状況に直面しています。政府は、商用データセンターの容量をすべて買い取り(すでに契約済みのITも含む可能性あり)、ロシアからの撤退を表明している企業のITリソースを引き継ぐ準備を進めているとみられています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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