消火システムが作動し、英国のテレビ放送が週末に一時混乱

消火システムから発生した音波が放送局のサーバーを停止させた原因と報道される

ロンドンの放送施設で消火システム(消火装置:fire suppression system)が作動したことで、英国の多くのテレビチャンネルが週末に放送停止となったようです。

放送サービス会社のレッドビー・メディアは、25日(土)夜、ロンドンの放送センターで消火システムが作動し、スタッフが避難したことをツイッターに投稿しました。その結果、「放送センターから発信されているいくつかのサービスで障害が発生した」と伝えました。その後ロンドン消防隊が現場に駆け付けました。

レッドビー・メディアの前身は、エリクソン・ブロードキャスト・アンド・メディア・サービス(EBMS)であり、チャンネル・プレイアウト(番組を視聴者に送り出す技術)をはじめとする様々なサービスを提供しています。

スタッフがセンターへ戻った後、同社は、サービスが完全に復旧し、完全な調査が終了するまで、「憶測を避ける」ためにこれ以上の発表は行わないとしています。

30分間の休憩

(テレビ局の)Channel 4とChannel 5はともに約30分間、一時的に放送停止となり、一方ウェールズのテレビ局S4Cは、いくつものプラットフォームに渡って番組に影響が出たと話しています。

Channel 4もBBCに確認したところ、Channel 4とMore 4の2つのチャンネルが土曜日に一時的に放送停止となり、同社(Channel 4)自身のオンラインAll 4サービスも影響を受けました。

オンデマンド放送については復旧したものの、同社のライブ・オンライン・ストリーミング・サービスは、昨夜(9月27日)の時点では依然としていくつかの障害が発生しており、ユーザーに代わりに「テレビを見る」ように伝えていましたが、現在、オンライン・サービスは完全に復旧した模様です。

Channel 4は、お客様に次のようなメールで説明しました。「現在、当社の放送センターで発生した事故により、当社サービスの一部に引き続き障害が発生しています。その結果、All 4ライブTVサービスに障害が発生していると思われます。このAll 4サービスの障害をお詫びいたします。我々のチームは可能な限り早く復旧させるために努力しています」

Timesの報道では、ロンドン西部にあるレッドビー・メディアの施設で煙が検出され、消火装置が作動して室内の酸素をすべて吸い取ったと伝えています。しかし、関係者によると、この安全対策により「音波」が発生し、それが放送用サーバーを停止させたとのことです。

その結果、Channel 4は、緊急復旧システムを使って放送しなければならなくなったと報道されています。BBCは、サービスが重複しているサルフォードに業務を切り替えることができたため、最悪の事態は避けられました。

消火システムは過去にも障害を引き起こしており、特に2021年6月にフランクフルトのAWSでは、消火システムが室内を呼吸できない状態にしたため、スタッフが避難して一時閉鎖されたことがありました。2017年には、マイクロソフトのヨーロッパのAzureデータセンターが7時間にわたって閉鎖されましたが、これは消火装置の影響でエアハンドラーユニット(AHU)が停止したためです。

消火装置が作動すると、衝撃波が発生し、機密性の高いハードディスクが損傷することがあります。これは今年2021年7月に、オーストラリアの賭博サイト「Tabcorp」で起こり、過去にも2016年にING銀行、2015年にグラスゴー市議会でも発生しています。しかし、この問題は十分に理解されており、現在では消火システムメーカーは衝撃波を防ぐためにノズルにバッフルを付けており、この問題は減少しているはずです。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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