新型コロナとeコマースブームが招いた一等地をめぐる競争【特集】

同時に小売倉庫市場も爆発的に拡大しました。昨年、投資会社ののGCPは、Amazonが小売スペース用にリースした316,550平方フィート(29,400平方メートル)の倉庫に4,200万ドルを支払いましたが、この1平方フィートあたり132ドルという価格は、2020年に市内で最も高額な取引の1つでした。同じく投資会社のKKRはシカゴとノースカロライナ州シャーロットの 合計250万平方フィート にわたる2つの流通物件に支払った2億6,000万ドルに加えて、 12月にはアトランタ、シカゴ、ダラス、ボルチモアの計100物件で合計8億ドルに近い契約を締結したと報道されました。一方、オンラインと流通双方セクターの巨人Amazonは、2020年にシカゴ地域で小売倉庫のためだけに約600万平方フィート (557,000平方メートル)をリースまたは購入しました。

– shutterstock

「データセンターのスペースとしてはカリフォルニアのエルクグローブやイリノイのフランクリン・パークのような地域が求められている」とCvengros氏は説明します。「いずれも地域産業の中心地で、空港から近く電力が豊富な重工業地帯だ。」

「町から1時間のイリノイ州ジョリエットのような地区では、以前はいくつかの100万平方フィート程度の施設で様々な産業が盛衰を繰り返していたが、大手オンライン小売業者が参入し、この二年間だけで数百万平方フィートの産業スペースを占めている。」

そして必然的に、適切な土地や施設といった限られたリソースをめぐる競争が価格を劇的に押し上げました。

「このようなタイトな市場では、単に物件が少ないだけではなく、市場に出回る建物には競合が殺到している」とCvengros氏は言います。「地価は3年前は1フィートあたり17ドルだったが、現在は1フィートあたり25〜30ドルで取引されており市場価値はかなり大幅に上昇している。」

競争の激化でデータセンター企業はより多くのコストをかけるか、高層にするか、あるいは撤退するかを迫られている

シカゴのケースはほんの一例に過ぎず、同様の現象は世界中で起こっています。その結果、データセンター企業、特にコロケーション事業者は、計画の一部を再考しなければならなくなるかもしれません。

「コロケーションの立場では、コロケーション費用の圧縮は非常に困難だが、土地代の支払いは増えてくる」とCvengros氏は言います。「土地コストは上昇しており、購入した土地からより多くのビジネスを生み出すために2階建てデータセンターが増え、そのエリアのビジネスは中心地よりも大きな成長率になる。」

‐Google Map

「同様の現象はバージニア州アッシュバーンにも見られます。マナッサスや空港の南側といった複数エリアの 1エーカーあたり100万ドルから150万ドル の土地に対する需要が高まり、土地単価は上昇を続けている。」

高層データセンターは、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールといった都市部でここ数年間で加速しているトレンドです。高層化はオンサイトでより多くの容量を可能にしますが一方では、荷重の増加や複数のフロアに分散する電力/冷却要件による建設やロジスティックといった課題が生じます。

しかし、悪い話ばかりではありません。 小売業者は多層施設を利用する方がコスト面でのメリットがあります。つまり、何か事が起こった際に新しいサイトを探して都市部から少し離れた利用可能なスペースに移るよりも、上の階に移れば良いのです。 不動産をめぐる競争は激しくなっていますが、Cvengros氏によると、多くの不動産デベロッパーは、小売業者よりも長期リースに高額の代金を支払うデータセンターのテナントと取引したがる傾向があります。

「デベロッパーたちはデータセンター業界に前のめりになっている。『難しい案件だが、賭けに出たい』と、チャンスを掴もうとしている。」

Data Center Dynamic

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