新型コロナとeコマースブームが招いた一等地をめぐる競争【特集】

オンラインショッピングの増加は小売業の不動産ニーズに変化をもたらし、データセンター候補地をめぐる競合が起きている

コロナ禍は多くの企業に困難をもたらしましたが、特定の分野では需要が急増しています。この期間に、データセンターと小売倉庫、流通センターのニーズが高まり、競合状態になりました。

オンラインショッピングの増加は、注文の処理、「おすすめ」の表示、出荷や物流といった処理を行うデータセンターの需要増を招きます。また、在庫を保管・処理するためには、より多くの物理的スペースが必要になります。しかし、土地が不足すると継続的成長サイクルは持続不可能になります。

小売業とデーセンター両方でのスペース需要が増加するにつれ、好立地の土地を求める競争は深刻になり価格が高騰するため、両方の業界では値上げを受け入れるか他の場所を探すか、または何とかやりくりをしてサイトの規模を調整するか、といった対応に迫られます。

データセンターと小売倉庫=新型コロナが追い風になった典型的な産業

データセンターと小売倉庫には多くの共通点があり、いずれも電力やインフラストラクチャへのアクセスが容易な 人口集約地の近くに 広大なスペースを必要とします。そして、生活習慣の変化やオンラインへの移行によって持続的な成長が見られるため、スペースの減少によって競争の激化が必然的に起こります。

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ここ数年はデジタル化の波により、クラウド、コロケーションの両方でデータセンター新設のブームが続いています。コロナ禍によるキャッシュフローの悪化により2020年にデータセンターへの支出が10%減少したにもかかわらず、Gartnerはデータセンター市場は2024年まで毎年成長を続けると予測しています。

Gartnerはまた、データセンターインフラストラクチャへの支出は2021年に6%増加の3,000億ドルに達すると予測しています。クラウドコンピューティングへの継続的な移行に加え、リモートワーク、ストリーミング配信、オンライン会議といったオンラインアクティビティの成長は、コンピューティング処理能力の需要をさらに高める結果になりました。

事業用総合不動産サービス会社JLLのSVPのAndy Cvengros氏は、こう述べています。「大手クラウドベンダーは新しいデータセンターを開設し、新しい土地を購入し、大規模なコロケーション契約を決め、投機的に土地を押さえようとして来年に備え先取りを続けているが、それでも十分ではない。」

同時に、これら同じ傾向の多くは、人々がオンラインで行うすべての注文を保管し処理するため、スペースに対する需要の高まりを後押ししています。CBREによると、オンライン販売の売上が10億ドル増加するごとに、11万6,000平方メートルの流通スペースが新たに必要になるとしています。小売業者は、小規模な店舗を数多く持つよりも、人口密集地に近い大規模な施設から大量の商品を消費者に迅速に出荷しようとしています。

「これらの市場の多くは、最終出荷拠点からエンドユーザーまでの距離を短縮しようとしている」とCvengros氏は言います。「当日配送、翌日配送を行っている大手オンライン小売業者は、広大なスペースを使用しており、それらはまた優れたデータセンターの敷地にもなる。」

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