世界のデータセンターの再エネ対応状況まとめ【特集】

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最近「再生可能エネルギー」、あるいは「再エネ」という言葉を耳にすることが増えてきています。

地球温暖化の懸念はかねてより議論に上がっており、世界的に各分野において温室効果ガスを抑制する為の取り組みが行われ始めているのはご存知かと思います。

近年ビジネスや生活のデータセンターへの依存度はますます高まってきています。近年ICT機器は性能の向上に伴い高発熱化が進み、消費電力量の増加に加え、冷却にかかる電力消費量も増加してきています。結果的に データセンター全体の電力消費量は年々膨らんできています。

そこでデータセンター業界では現在、様々なメーカーが増加する消費電力量を抑える為のテクノロジーの開発や実装を進めています。例えば Schneider Electricは、次世代エネルギーに関し「New Energy Opportunities(NEO)」 という取り組みを進めており、 再生可能エネルギー 分野におけるイニシアチブの獲得を期待しています。

一方データセンター設備を保有する企業では、電源効率と冷却効率を向上させるための取り組みが行われています。一方、電力供給側の取り組みとして、温室効果ガスを発生させ、環境へ悪影響を及ぼす化石燃料を使うのではなく、廃棄物などの排出ゼロで環境に優しい太陽光や風力などのいわゆる「再生可能エネルギー」の利用率を向上させていく必要があります。

再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは石油や石炭、天然ガスなどの化石エネルギーとは違い、枯渇する心配がない太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのことです。 再生可能エネルギーは、温室効果ガス(CO2)を排出しない、地球環境にとって将来非常に重要なエネルギー源です。

主に海外では風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを積極的に導入するデータセンター事業者が近年増えてきています。GAFAを始めとしたハイパースケーラーもその方向に舵をきっています。AppleやGoogleは既に100%の再生可能エネルギーの達成を宣言し、Facebook、Microsoftなども100%の再生可能エネルギーとする目標を掲げて、エコなデータセンターの建設に力を入れています。

以下は、経済産業省資源エネルギー庁がまとめた2017年時点での世界各国の再生可能エネルギー対応状況と将来の目標値をまとめた表です。

ドイツ、スペイン、イギリス、イタリア、デンマークあるいは北欧諸国などヨーロッパでは取り組みが進んでいる国が比較的多いです。一方、GAFAを擁する米国は再生可能エネルギー比率が17%と、思いのほか対応が進んでいません。また、日本も約16%に留まり、低い状況です。

出典:資源エネルギー庁調べ

さて、本記事では、世界のデータセンター業界における再生可能エネルギーの取り組みの最新状況をまとめてみました。

海外の事例① ヨーロッパ

ヨーロッパは再生可能エネルギーの活用が世界的に最も進んでいる地域です。特に風力発電を主要とする国が多いようです。具体的な事例を見てみましょう。

ヨーロッパでは風力や太陽光発電所の建設が進んでいたこともあり、ハイパースケーラーが 電力販売契約 ( PPA )を通じてそれらの施設を活用する動きが多いです。 ハイパースケーラーの具体的な事例は後述します。

ヨーロッパを拠点とする事業者の事例としては、例えばスウェーデンの コロケーション プロバイダであるEcoDataCenterが有名です。同社は水力及び風力発電による100%の 再生可能エネルギー を使用した施設を運営しており、社名の通りエコなデータセンター事業者です。尚、EcoDataCenterは2018年11月に不動産開発会社Areim社 に買収されました。

ノルウェーでは、Green Mountainが水力発電で稼働するデータセンターを運用しています。

カナダのマイナー、Hive Blockchain社が構築中のノルウェーのKolosデータセンターは 水力発電による100%再生可能エネルギーで稼働する予定のようです。

Vodafoneは、アイスランドに大規模データセンターを開設。 1年のほとんどを冷却なしで運営できる見込みであるとしています。

変わった試みとして、 ドイツの風力タービン事業者WestfalenWind-Groupは、データセンターを風力タービン内に設置しており、興味深いです。

海外の事例② 北米

GAFAを筆頭に、多くのハイパースケーラーを擁する米国は、積極的に再生可能エネルギーへの転換を進めているように見えます。しかし米国最大のデータセンター集積地であるヴァージニア州での発電は依然として化石燃料が主流であり、再生可能エネルギー由来のものは5%未満で、米国内の他の地域にも遅れをとっています。 米国全体で見ても、再エネ利用はヨーロッパに比べ遅れています。

しかし、ネバダ州やアリゾナ州など、税優遇措置を設ける州では再エネデータセンターへの投資が活発です。

ここではハイパースケーラー以外の事業者の再生可能エネルギー関連の最近の取り組みを紹介します。

2019年5月に、QTS社は、イリノイ州シカゴおよびニュージャージー州ピスカタウェイのDCで100%再エネ供給に向けての10年間の電力購入契約に調印しました。

同年7月には米国アトランタに本拠を置くT5 Data Centers (T5) が ソーラーアレイ を構築する契約を締結。

つい先日には、米Iron Mountain社が100%再エネのフェニックス第2センターを開設 しました。 現在のフェーズ1では4MWですが、最終的に 48MWの利用電力となります。 同社は再生可能エネルギーの100%利用に非常に積極的な企業の一社です。

米国ラスベガスを拠点とするSwitchは、2015年に米国政府ホワイトハウス主導の American Business Act on Climate Pledge(米ビジネス気候変動対応行動誓約) に参加しており、再生可能エネルギー PPA ( Power Purchase Agreement=電力販売契約)を通じて使用電力のすべてを100%太陽光発電により調達しています。

興味深い事例としては、ソーラーインフラ関連企業のペガサスグループ・ホールディングス及び プラスマイナスパワー という謎の企業が、米アリゾナ州モハーヴェ郡におよそ3000億円超規模の 340MWソーラー発電データセンタープロジェクトを打ち出していました。

海外の事例③ その他

中国国内のデータセンターは2017年に120TWHを超える電力を消費し、エネルギー消費は毎年30%の驚異的な割合で増加すると推定されています。 公害を減らし、大気の質を改善するという目標を掲げ、中国政府は過去10年にわたり再生可能エネルギーへのシフトに着手し、 2017年には世界の再生可能エネルギー投資の45%以上を占めたようです。 中国のNational Energy Administrationは、2020年までに風力と太陽光の削減を大幅に削減する目標を設定しました。 今後は再生可能エネルギー大国として伸びていくかもしれません。

オーストラリアでは、2018年8月に、DC Two(とその子会社D Coin)が、太陽光エネルギーのみによって電力供給される暗号通貨マイニングに特化した施設を建設しました。

インドでも最近政府が、再生可能エネルギーの容量を2022年までに175万キロワットにまで拡大するという目標を掲げ、 再生可能エネルギーへのシフトを強めています。

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