あつ森でデータセンター運用を学ぶ【特集】

現場運用①【設備側】

分電盤メンテナンス

設備系機器やIT機器すべてを動作させるためには当然電源が必要です。
その最も重要な電源供給を司るのが分電盤( PDU :Power Distribution Unit)です。(会社によっては、別の名称「 PDP :Power Distribution Panel」,「PDF:Power Distribution Frame」などと呼ばれることもあります)

そこで、分電盤は定期的な保守点検は必須となります。
電気事業法で定められている年に一度の法定点検に加え、月に一度の自主点検が一般的に行われています。

具体的な自主点検内容としては、盤内ブレーカーの温度を放射温度計で測定したり、端子接続部の目視確認などが行われ、漏電などがない事の確認が行われます。
実際に物理的に端子に触れたりといった作業はリスクが高いため行われません。

一方、法定点検では、一系統の電源を停止し、システム作動点検、細部の点検、端子接続部の増し締めなどが行われます。

ただ、メンテナンス中に電力供給が無停電電源装置(UPS)や非常用発電機に切り替わらず、停電事故が発生したケースもあり、非常に慎重な計画と実施が求められます。

空調機メンテナンス

データセンターにおいて、空調設備は必須となりますが、機械工作物となるため、一定期間において、定期的な保守は必要となります。

データセンター空調は、大変大雑把にはなりますが、 CRAC (コンピュータ室用空冷空調設備)、 CRAH (コンピュータ室用水冷空調設備)に分類されます。
必要な保守の周期は、それぞれのメーカーが発行している技術資料および各種の説明書を参照することになります。

耐用年数を迎えるまでの保守プロセスとして、おおまかには、定期点検と予防保全が行われます。
保守対象は、構造部品(フレーム、防振装置など)、送風部品(ファン、モーター、フィルタなど)、電気電子部品(電子基盤、センサーなど)に大別されます。また、CRACでは冷媒部品(圧縮機、熱交換機など)、CRAHでは熱交換部品(熱交換機、配管など)が対象となります。

定期点検は、年に一度か二度行なうことが一般的です。具体的な定期点検は、送風や配管などの温度測定、使用電源の測定、モーターやファンの異音、筐体の振動、機体の清掃などです。定期点検は空調設備を停止して行なうことが必要になります。

予防保全は、その名の通り、故障を予防するために部品交換をするなどの保全を行なうことです。部品毎に使用周期が決まっており、6年~8年経過すると部品交換が必要になってくるものや、使用時間が決まっているモーターやファンなどの回転する部品は20,000hr~25,000hr経過したら部品交換を実施していくことになります。

空調メンテナンスは、停止しながらの作業が大変多いことから、データセンターの継続運用を意識すると、メンテナンスを考慮した余剰設計が必須となり、必要台数にプラス1台( N+1 )、プラス2台(N+2)加味されることがほとんどです。

定期的な点検と部品の交換などは不可欠で、突発的な故障を起こしにくくする他、さらに消費電力の増加を抑えることなど、ランニングコストの低減も期待できます。

故障の発生をできるだけ未然に防止し、少しでも長く使用し続けるようにするには、空調メンテナンスは必須といえます。

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。