ケッペル、大阪ガス、ウッドサイドがオーストラリアからシンガポール、日本への液体水素輸送を検討
Keppel Data Centres(ケッペル・データセンター)が、オーストラリアからシンガポール、そして日本へのグリーン水素サプライチェーンの実現可能性を研究する団体に参加しました。
Woodside Energy(ウッドサイド・エナジー)社は、10月に西オーストラリア州のグリーン水素プラント「H2Perth」を発表しました。現在、同社は施設から液体水素を輸出するための長期的なサプライチェーンの構築を検討しており、ケッペル、シティエナジー、大阪ガスシンガポールと共同で実現可能性の研究プロジェクトを開始しました。
今後、団体は2022年半ばの調査報告時に、さらなる協業を決定するとしています。
H2の出荷
西オーストラリア州政府が支援するH2Perthは、パース南郊外のクウィナナ戦略産業地区とロッキンガム産業地区の130ヘクタールの空き地に建設される予定です。そこでは日産1,500トンの水素を製造し、液体水素やアンモニアとして輸出するほか、地元の消費者らに低コストの水素ベースのグリーンエネルギーを提供し、地域の再生可能エネルギー発電の促進を目指しています。
水素は燃焼しても二酸化炭素を排出せず、液体のまま高密度の燃料として輸送することができ、都市ガス配給網を通じて輸送することも可能です。また通常、水の電気分解によって製造され、そして製造に使用される電力が再生可能エネルギーであれば、グリーンエネルギーとなり得ます。また、マイナス253℃以下に冷却することで液化させることができ、液状では容積が小さくなるため、貯蔵や輸送が容易になります。
この研究では、西オーストラリアとシンガポール、そして日本との間のLH2サプライチェーンの技術的、商業的な側面が調査される予定です。
このプロジェクトは、自然エネルギーに乏しいシンガポールにとって有用なエネルギー源となる可能性があります。シンガポールでは現在、データセンターの新規プロジェクトはモラトリアム措置で保留とされていますが、その理由はすでにデータセンターが国内の電力供給の7パーセントを使用しているためです。
シンガポールのグリーンプランでは、「できるだけ早急の」ネットゼロエミッションの達成を目指しており、国連の2030 Sustainable Development Agenda(2030年持続可能な開発アジェンダ)とパリ協定の達成に向けて動き出したいと考えています。シンガポールに新たなデータセンターを建設すれば、地域のハブとしての地位を高めることができますが、グリーンプランが頓挫する可能性もあります。
シンガポールでは再生可能電力を得ることは難しく、ソーラーパネル用の土地も不足しているため、ケッペルのようなプロバイダーは新たな電力供給源の確保に意欲的です。
Keppel Data CentresのCEOであるWong Wai Mengは、次のように述べています。「このMOU(覚書)は、オーストラリアからのLH2をシンガポールのデータセンター用電力として利用する可能性を探るもので、将来的にはケッペルの他の事業部門にも適用される可能性がある。上流のLH2サプライチェーンにおける今回の協力体制は、輸送、貯蔵、再ガス化を含む中流から下流のセグメントを調査するために様々なパートナーと締結した既存MOUを補完するものである」
ケッペルはすでに、シンガポールでLNGガス化の冷熱利用を目指すプロジェクトに参画し、海水で冷却する浮体式データセンターの調査も行っています。
「ケッペルのビジョン2030と二酸化炭素排出量削減目標に沿って、発電用LNGと水素、浮体式データセンター、二酸化炭素の回収・利用・隔離技術の研究活動を通じて、私たちはデータセンター事業の脱炭素化に取り組んでいる」Wong CEOはこのように述べています。
ウッドサイドのCEO Meg O’Neillは次のように述べています。「Keppel Data Centres、大阪ガスシンガポール、City Energy、City-OG Gas Energy Servicesなどの潜在顧客やエンドユーザーと協力し、私たちの提案するH2Perthプロジェクトから持続可能な水素サプライチェーンを共同で構築することが重要である。H2Perthは、シンガポールと日本への輸送に理想的な西オーストラリア州に位置し、プロジェクトサイトは既存のガス、電力、水、港湾インフラに近く、地元の熟練の労働力もある」
シンガポールの都市ガス製造・販売会社であるCity Energyは、グリーン水素の導入を希望しています。大阪ガスとの合弁会社であるCity OGも、このプロジェクトに参加しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。