データセンター分野で重要性を増すサステナビリティ

S&P Globalの最新調査レポートによると、データセンターを所有、運営、あるいはリースする企業にとって、それら施設の持続可能性(サステナビリティ)は、今日のビジネス環境においてますます重要になってきています。

しかし、持続可能性の範囲には、企業が検討し、行動する準備が必要な複数の側面があります。これまでのところ、 注目の多くは再生可能エネルギー に関するものです。「データセンター、サステナビリティ2022」調査レポートの回答によると、企業が消費するエネルギーをカーボンフリーのエネルギー源で中和させるにつれ、ディーゼル発電や水の使用といった要素が焦点になってきます。

企業が事業運営に伴う温室効果ガスの排出量を調べるにつれ、ハイテク産業にとって、デジタルインフラを運用しているデータセンターに何らかの注意が必要であることが明らかになってきました。企業規模や持続可能性の目標を設定しているかどうかにかかわらず、調査回答者の半数以上が、データセンターの効率性と持続可能性は非常に重要な問題であると感じています。

調査結果の概要

調査によると、企業は持続可能性目標を設定し、その目標達成に慎重に高い自信を持っていることがわかりました。回答者の3分の2(66%)は、自身が勤めている会社が持続可能性目標を設定していると回答しています。従業員数250人以下の企業では43%が 持続可能性目標 を設定しているのに対し、250人以上の企業では約70%が目標を設定しているなど、企業規模がここでも関係しています。

自社で 持続可能性目標を設定していると回答した人のうち、半数以上(58%)はその目標を達成する可能性が非常に高いと感じ、さらに39%はやや高いと感じているようです。ここでも企業規模が関係しており、小規模な企業ほど高い確信度を示しています。従業員数250人未満の企業では、69%が 持続可能性目標を達成できる可能性が非常に高いと感じ、従業員数1万人以上の企業では、51%が同じように感じています。また、目標達成の可能性が低いと感じている3%未満の企業では、その理由として、優先順位の低さや予算不足が最も多く挙げられています。

また、効率性と持続可能性が最も重要視されており、再生可能エネルギーが前進する道と考えられています。データセンターを所有またはリースしている企業に勤務する回答者の半数以上(54%)が、データセンターの効率性と持続可能性は組織にとって非常に重要であると感じています。さらに3分の1(30%)の回答者は、これらはある程度重要であると感じています。

回答者は、PUEを1.2以下にすること(10%)よりも、ディーゼル発電機からの脱却(13%)をやや優先しています。また、二酸化炭素排出量を改善するために新しいデータセンターを建設していると回答した企業の28%は、新しい拠点にディーゼル発電機を置かないことでそれを実現していると回答しています。また、水の使用量が少ない、または全く使用しないことの重要性も高まっています。

二酸化炭素排出量の削減は、企業がデータセンターの新設を計画する理由のひとつとなっています。調査対象企業の約3分の1(29%)は、近い将来に新しいデータセンターを開設する予定であると回答しており、さらに16%は、最近新しい施設を開設したばかりであると回答しています。データセンターを開設する理由について尋ねたところ、組織のグローバルリーチを拡大するため(33%)、組織がこの地域に本社を置くため(32%)、パートナーの戦略/イニシアチブをサポートするため(32%)、組織の二酸化炭素排出量を改善するため(32%)という回答が上位を占めました。

企業のデータセンター閉鎖は、依然としてパブリッククラウドへの移行と関連しており、カーボンフットプリントの改善もリストに含まれています。近い将来にデータセンターの閉鎖を予定している企業(17%)、または最近データセンターを閉鎖した企業(13%)のうち、閉鎖の主要因はパブリッククラウドサービスへの移行(42%)です。さらに、3分の1以上(40%)がデータセンターを閉鎖している理由は、ITインフラの変革によって統合が可能になったためであり、22%はデータセンターの敷地が単に過剰になったとしており、どちらの観点もおそらく省エネ志向を反映していると思われます。

4分の1以上(27%)の回答者は、IT予算の削減を理由にデータセンターを閉鎖しています。さらに17%の回答者は、組織の二酸化炭素排出量を改善するためにデータセンターを閉鎖していると述べています。カーボンフットプリントの改善策としてデータセンターの閉鎖を報告した企業の多くは、古いデータセンターが二酸化炭素排出量の多いエネルギーミックスの地域に位置していること、水の消費量が多いこと、あるいは十分に活用されていないことを指摘しています。

Digital Infra Network( Michael Nelson 記者)より抄訳・転載


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