OVHcloudが47億ドルのIPOを計画、4億6900万ドルの調達を目指す

フランスのクラウドおよびデータセンターサービスプロバイダーのOVHcloudは、パリでの新規株式公開(IPO)で4億ユーロ(4億6900万ドル)の調達を予定しています。

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、この上場により同社の事業価値は47億ドル以上になるとみられています。1999年にOVHとして設立された同社は、Amazon、Google、Microsoft、Alibabaといった米国や中国のハイパースケール大手に代わる欧州の企業として売り出してきました。

2017年、OVHは失敗に終わったVMwareのパブリッククラウドへの取り組みであったvCloud Airを拾い上げ、基盤となるハードウェアを自社データセンターに統合するとともに、米国でのフットプリントを確保しました。

OVHcloudは、3月初旬にIPOの手続きを開始しましたが、その数日後に発生した火災事故により、ストラスブールのSBG2データセンターが焼失し、更に同じ敷地内にある別の施設も使用不能となりました。

OVHcloudは、可能な限り顧客のサーバーとデータの復旧を試みましたが、一部のデータは取り返しのつかないことになりました。同社はその後fire safety laboratory(火災安全研究ラボ)の設置を約束しました。火災原因に関する最終報告書は、IPO(株式公開)後の2022年まで公表されません。OVHcloudは、フランス政府を含む当局や保険会社が関与しているためにそれが遅れているとしています。尚、今回の火災発生以前に、OVHcloudのルーベ・データセンターに対する検査において、バッテリールームに十分な防火対策が施されていないことが判明していました。

しかしこの災害でOVHcloudのIPO計画が頓挫することはありませんでした。OVHcloudのスポークスマンは、6月にDCDに対して、「我々はこれまでのように成長を続けることができたが、データ主権をめぐる全体的な勢いは深い波である」と語っていました。「ヨーロッパのクラウド市場は、2030年までに通信事業者を追い越すと予想されている」

IPO上場時には、同社は2022年の売上成長率を10~15%、2025年にはオーガニックグロース・レートを20%台半ばにすることを目標にしていると述べています。

また、キャッシュフローは再投資される予定で、すぐには配当金は支払われない見込みです。

上場後も、創業者であり会長のオクターブ・クラバとその家族は、事業の過半数の株式を保有する予定です。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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