TSMCは、台湾の電気代が同社が事業運営する他国を上回ると予想

台湾でエネルギー料金の上昇に直面、現地では実行可能な代替エネルギー源が不足

チップメーカーのTSMCは、台湾のエネルギー価格の上昇により、台湾での電力料金が他のどの国よりも高くなる見込みです。

FT紙の報道によると、台湾の電力コストは過去数年で倍増しており、メーカーにインセンティブを与えるために電力補助金を出してきた政府にとっては、もはや手に負えなくなっています。

TSMCは台湾の工場に加え、米国と日本にも製造工場を持っており、現在ドイツにも工場を建設中です。

2022年にロシアがウクライナに不法侵攻して以来、化石燃料の価格は大幅に上昇しています。これに代替電源の不足が重なり、ウクライナの電力料金は高騰し、国営電力会社である台湾電力は、最近の四半期で連続して赤字を計上しています。

FTは、台湾政府はインフレの進行を食い止めるため、財政負担を電力業界に転嫁し始めたと報道しています。

4月、台湾の電気料金は平均11%上昇しましたが、TSMCのような産業用ユーザーは25%の値上げに直面しました。さらに、政府が一般家庭といわゆるサンセット産業の電気料金を凍結すると、産業用ユーザーはさらに14%の値上げに直面しました。

チップ製造の世界的な拠点であることに加え、近年ではGoogle、Keppel、Vantage、Appleといった企業がこぞって台湾でのデータセンター建設計画を発表しています。その結果、台湾政府は電力供給不足を理由に、桃園以北の地域で5MWを超えるデータセンターの認可を停止しました。

台湾の電力価格は、英国、ドイツ、イタリア、フランス、日本、韓国よりもまだ低いですが、業界の専門家は、台湾の価格は上昇し続け、最終的には日本や韓国の産業用電力コストを上回ると予想しています。

10月にS&Pグローバルが発表した報告書によると、TSMCの電力消費量は現在、台湾全体の使用量の8%を占めており、TSMCがますます高度な半導体を製造し続けるにつれて、この数字は2030年までに24%近くまで上昇する可能性があるとのことです。

さらに報告書によると、TSMCが10nmチップの生産を開始した2016年から、3nmチップの量産が始まる2023年までの間に、同社の電力消費量は〜110GWから約250GWへと2倍以上に増加したようです。

TSMCは2050年までにネットゼロの方針を掲げ、排出量を削減し、2040年までに100%再生可能エネルギーに移行するための措置を講じていますが、同社の電力消費は温室効果ガスの排出量としては圧倒的に大きいです。

ちなみに、同社が台湾全体の使用量の約8%を消費しているのに対し、台湾全体の再生可能エネルギーによる発電の割合は現在約9.5%です。政府は、この割合が2030年末までに27~30%まで上昇することを期待しています。

チップ製造装置は電力を大量に消費する可能性があり、新しい機械はより多くのエネルギーを必要とします。最新世代のNA EUV装置は、1台あたり最大1.4MWを必要とすると報告されています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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