Google、ベルギーで2.75MWの系統用大型蓄電池システムにFluenceを採用

Googleは、ベルギーのサンギスランにあるデータセンターのディーゼル発電の一部をFluenceの2.75MWバッテリーシステムに変更し、排出量の削減と地域の電力網をサポートすることにしています。

このバッテリーは Centrica によって送電網に接続され、 Centrica のFlexPondソフトウェアを使用してエネルギーの貯蔵と放電を行うため、停電時にデータセンターをサポートし、また短期的に送電網にエネルギーを供給して送電網の安定性を向上させます。

バッテリーは5.5MWhのエネルギーを蓄えることができ、必要に応じてその半分までがグリッドに供給されます。

ゼロエミッションのバックアップ

Googleは1年以上前の2021年1月、サンギスランの一部のディーゼルバックアップを置き換える計画を初めて発表しましたが、当時は購入を計画しているリチウムイオン電池システムのサプライヤー名を明かしていません。今回の発表は、2030年までに完全にカーボンフリーのエネルギーを使用するという同社の公約に向けた一歩となるものです。

この設備には、Fluene社のGridstack電池が使用されます。技術仕様によると、Fluence Cubeと呼ばれるモジュールをベースにしたシステムで、中国の電池メーカーContemporary Amperex Technology Co, Limited (CATL) 社製のLFP(リン酸鉄リチウム)電池が使用されます。

LFPはリチウムイオン電池の一種で、ニッケルマンガンコバルト(NMC)やニッケルコバルトアルミ(NCA)などのリチウムイオン電池より出力密度は低いが、負荷サイクルや安全性が高く、有害な原材料を使用していないのが特徴です。

この設備はまだPoCの段階であり、1〜2台のディーゼル発電機を置き換えるだけで、 サンギスラン のディーゼル発電機の数のほんの一部をかじるに過ぎません。2009年以降Googleは90ヘクタールの敷地に巨大なデータセンター・キャンパスを建設しました。4つのデータセンターが稼働し、今年には5つ目のデータセンターが完成する予定のため、そこで使われている電力は数百MWになると思われます。

2021年後半、Googleはベルギーのワロン地方にさらに50ヘクタールを購入し、拡張を進めています。

Googleはキャンパス内に太陽光発電所を建設し、2013年にはサンギスランのデータセンターが同社初の冷凍機なしで稼働することを発表しています。

Centrica のFlexPondを利用することで、Googleはベルギーの送電事業者Eliaが運営するサービス市場を通じて、送電網に電力を還元することができます。Centricaは仮想発電所の一部として電池を管理します。電池の総電力容量は5.5MWhで、そのうち2.75MWhはCentricaが最適化し、デマンドレスポンスプログラムに参加させる予定です。

データセンター業界では、20ギガワットのバックアップ用ディーゼル発電機が稼働していると推定され、クリーンなソリューションを導入する大きなチャンスとなります。正しく管理することで、データセンターの持続可能な運用をサポートするだけでなく、グリッド規模の柔軟性を実現し、再生可能エネルギーの変動とのバランスを取りながら、明日の100%ゼロカーボンエネルギーネットワークをサポートできます。

「バッテリーベースのエネルギー貯蔵は、商業・産業施設の耐障害性を高めるだけでなく、ヨーロッパおよび世界中のシステム全体の脱炭素化とエネルギーセキュリティの目標をサポートする、迅速に展開されるコスト効率の良い、低排出のソリューションです。」とGoogleの発表がありました。

「 Fluence がサンギスランの施設に提供するゼロエミッションのバックアップ電源システムは、当社のカーボンフリーエネルギーの目標達成に向けた重要な一歩です」と、Googleのデータセンターエネルギー・インフラ担当シニアリードのマーク・オーマンは述べています。「このバッテリーは、ベルギーの電力網が目標周波数を維持し、バランスを保つのに役立つのです。」



この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。



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