自動運転車は現在のデータセンター市場を圧倒する可能性

CoBankのKnowledge Exchangeのレポートによると、デジタルインフラは、自動運転車が生み出すであろうデータの大幅な増加に対応する準備が全くできていないとのことです。 自動車メーカーは、消費者の需要や気候変動に対応するため、電気自動車(EV)に対してかつてないほどの投資を行っています。EV市場の成長は自動運転技術の重要な先行指標であるため、こうした投資は自動運転車や自律走行車の普及に向けた基礎固めにもなっています。

自動運転車の普及には、社会的受容性、安全性、規制上の制約など、いくつかの大きな障壁があります。しかし、この報告書によると、見落とされがちなもう1つの大きな課題は、これらの自動車がデータセンター市場に与える多大な影響です。

CoBankのリード・コミュニケーション・エコノミストであるJeff Johnstonは、「自動運転車は、データセンターのストレージと計算の市場に大きな影響を与え、想像を絶する量のデータを生成することが予想される」と述べています。「そして、既存のデジタルインフラと自動運転車の普及をサポートするために必要なものとの間には、大きな隔たりがある」

データコンピューティングとストレージプロセスにおける大幅な技術的進歩がなければ、自動運転EVが生み出す膨大なデータを業界が処理できる可能性は低いと、 Johnston は付け加えています。

自律走行型EVの普及がデータセンターに与える影響の予測は、驚くべきものです。Automotive Edge Computing Consortium(AECC)によると、自動運転EVは最終的に1時間あたり5,000ギガバイトものデータのオフロードが必要になる可能性があるそうです。これは、2020年に世界の平均的な人が1日あたり約150ギガバイトのデータを生成していることを意味します。

Holon Investments社は、2035年までに世界の自動運転車保有台数が4億台に達すると推定しています。この数字を外挿すると、2020年に64ゼタバイトであった世界の年間データ量は、2035年には1万〜1万5千ゼタバイトとなり、自動運転車によるデータ量だけでも驚異的な数字になることが予想されます。

自動運転車への急激な移行はあり得ません。むしろ、自動車メーカーが自律運転の規模を拡大するにつれて、商業用途から民生用途へと徐々に移行していくシナリオが考えられます(1~5)。

しかし、一部の自治体では、ライドシェアサービスへの自動運転技術の限定的な利用を認め始めています。ラスベガスは今年から、LyftとMotionalに自動運転による無人タクシーの限定的な配備を許可し、本格的な商業利用を2023年に開始すると発表しました。また、テスラ CEO の Elon Musk は、テスラが今年中にレベル4の自律性を達成するとの見通しを示しています。

「自動運転EVが大規模に採用されるまでには長い道のりがあり、そうなればテクノロジーの姿も大きく変わるでしょう」とJohnstonは述べています。「しかし、現在の見積もりが高い方であったとしても、業界はデータの保存と処理方法において大きな課題に直面することになりそうです。」

Digital Infra Network( Mark Venables 記者)より抄訳・転載

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