AMDとPenguin Computing、米LLNLのスパコンを強化
新たな名称は「コロナ」
米ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)は、新型コロナウイルス感染症との戦いに向け、同研究所のスーパーコンピュータの強化(アップグレード)に関し、AMDとPenguin Computingに依頼を掛けました。新たなスパコンの名称は……「Corona(コロナ)」
2018年当時、2017年の皆既日食にちなんで名付けられたこのシステムは、ピークパフォーマンスがほぼ2倍のピーク時4.5ペタフロップスまで強化されます。
対コロナ連合
AMDは、Radeon Instinct MI50アクセラレータを無償で国家核セキュリティ管理局(NNSA)に提供し、その見返りとして、AMDは米国エネルギー省(DOE)スーパーコンピュータの将来のコンピュータサイクル案件を獲得します。
このコンピュータサイクルは、Covid-19 HPCコンソーシアムが承認する研究だけでなく、AMDの商用開発も含み、「さまざまな目的」に使用される予定だと同社は言います。
「AMDが、今後リリースされるNNSAの初のエクサスケール・クラス・システムとなるHewlett Packard Enterprise(HPE) El Capitanスーパーコンピュータのキーパートナーであることはよく知っている。」とLLNLのAdvanced Simulation and Computingプログラムのディレクター Michel McCoy氏はコメントしています。
「しかし、永続的なパートナーシップにはいくつかのコラボレーションが含まれ、それぞれ共通の目標を追求していく。AMDの気前の良い申し出に感謝する。特に、この病原体を緩和し、そして最終的には打倒するための確たるペースの必要性を考えると喜ばしい事だ。」
AMDは、 Nvidia、IBM、および米国の大手クラウド事業者とともに、4月6日にCovid-19 HPCコンソーシアムに参加しました。このコンソーシアムは、企業のみならず、政府、産業界、学界からの12社・団体を超えるメンバーで構成され、DOEが保有する多くのスーパーコンピュータを利用して、Covid-19の検出方法やワクチン開発の加速を目指しています。
これらのスーパーコンピュータを合わせると、400ペタフロップスを超えるパフォーマンスが実現します。一方、新型コロナウイルス解析を行う分散コンピューティングプラットフォームのFolding@Homeは、今月初めにピークパフォーマンス2.4エクサフロップスを実現しました。これは、世界中のTop500のスーパーコンピュータを合わせたものを上回る値です。
しかし、Covid-19の研究は複雑であるため、持てる全てのパフォーマンスを注ぎ込む必要があります。LLNLの研究者は、この“Corona”システムで、SARS-CoV-2抗原タンパク質との結合相互作用を改善できる治療用抗体の設計を検討します。研究者らは、今回の強化が、既に実行している計算的にコストが高いシミュレーションの数を倍増させ、効果的な抗体設計を発見する可能性を高めるだろうと期待しています。
「Coronaに最新のGPUを追加することで、Covid-19に取り組んでいるチームの能力が増強される。」と、LLNLのプログラム担当副アソシエイトディレクターのJim Brase氏は述べています。
「このより高いスループットは、我々の研究をより加速させるだろう。より多くのリソースを得る事で、より多くの事例検証を可能とし、抗体と低分子の新しいデザインをより迅速に実現でき、そしてより良い治療につながる可能性がある。また、シミュレーション及び機械学習アプリケーションといった新しいソフトウェアを、より効率的かつ優れた形で実行できるようになるだろう。」
Data Center Dynamics
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