中国がチベット自治区に「世界最高標高」のクラウドキャンパスを建設

「一帯一路」の一環として

チベット自治区の行政首都ラサで進められていた、中国のデータセンターキャンパスが、最初の建設フェーズを完了しました。

プロジェクト全体では645,000平方メートル(700万平方フィート)の敷地面積で、完成時には、複数施設の合計で400,000平方メートル(430万平方フィート)をカバーします。

中国の国家メディアは、このデータセンターは世界最高標高のクラウド施設であると主張しています。おそらく現在世界最高標高のデータセンターは、チリのアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)をサポートする目的で建設された 海抜16,500フィートの小規模施設であろうと思われます。

キャンパスの建設費用は約118億元(17億ドル)とされています。今回初期構築フェーズが完了し、施設は動作確認のための試験運用を開始します。

データセンターの建築工程は3フェーズに分けられ、今後5〜6年間を掛けて完成を目指しています。

部分的に国有のテクノロジー企業であるTibet Ningsuan Technology Groupがデータセンターを運営し、建設を監督します。初期フェーズは約28億元(4億ドル)のコストを掛け構築されましたが、続く2つのフェーズはそれぞれ30億元(4億5000万ドル)と60億元(9億ドル)のコストがを掛けて行われます。

当局によると、完成時には、7万ラックがサイトに収容され、年間100億元(17億ドル)の収入が見込めるとの事です。

このプロジェクトは、 海上および陸上経由で、東南アジア全域からヨーロッパに至る約70か国をより緊密に繋ぐ、中国の一帯一路(Belt and Road Initiative:BRI)構想の一部を担います。

チベットでのアリババ

2018年、アリババはNingsuanと契約を結び、いったん構築されたデータセンターからクラウドサービスを提供することを約束しました。

これらの「サービス」は、エネルギー、金融、防衛、政府、公安、ネットワーク通信などのセクターで中国国内および海外で活動する組織向けの「 Ningsuan cloud 」プラットフォームとなります。

当時発表された声明によると、「Alibaba Cloudは、そのクラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能の分野における技術的優位性を生かす。」

「Tibet Ningsuan Technologyは、その電力、通信、地方自治体、地元企業、および金融分野における、顧客リソース、資金調達基盤、およびローカル運用を行う。」

「そして、特定市場の情報化を共同で推進し、双方にとってWin-winの協力体制を実現する。」

‐ shutterstock

一帯一路

以前は「新シルクロード」として知られていた一帯一路(Belt and Road Initiative:BRI)は、中国政府が提唱するグローバル開発戦略です。中国の習近平主席は、2013年にインドネシアとカザフスタンを訪問した際に初めてこの戦略について発表しました。

わかりにくい言葉の使い方だが、「ベルト」は道路や地上接続などの陸上のインフラを指し、「道路」は海路や海底ケーブルを指します。

習近平氏は2015年3月28日、アジアのボアオフォーラム(BFA)の開会式で、次のように述べていました。「開発プログラムは、オープンかつ包括的なものであり、排他的ではない。これは、沿線各国による合唱 であり、中国の独奏ではない 。」

参考まで、昨年12月に、チャイナモバイルの子会社のChina Mobile International (CMI) は、ロンドン近郊のスラウに10MWのデータセンターを開設し、その新センターは中国とヨーロッパをつなぐ重要な一歩であると述べていました。

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Data Center Dynamics

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