GLP、Ada Infrastructureデータセンター・プラットフォームを設立、850MWのパイプラインを詳述

APACの物流不動産会社GLPは、新たなデータセンター・プラットフォームを発表し、欧州、APAC、南米における開発パイプラインの詳細を明らかにしました。

同社は今週、中国以外のデータセンター・プロジェクトを網羅する新たなグローバル・データセンター事業、Ada Infrastructureの設立を発表しました。

この部門は、日本、英国、ブラジルで開発中の850MWのIT容量を確保し、さらに将来的には約1.5GWの容量に達するとしています。

GLPの共同設立者兼CEOのMing Mei氏は次のように述べています。「データセンターは、現代世界をより効率的に運営する上で重要な役割を果たしており、世界最大の課題のいくつかが解決される場所でもあります。科学の発見、医療の進歩、通信システム、より利用しやすい新しい金融サービス、グローバルな商取引、そして現在のAI革命は、すべてデータセンターで実現されています。Adaと共に、私たちはデジタルインフラの未来の一部であると同時に、地域社会や地球にも貢献できることを誇りに思います」

この部門は、昨年GLPに入社した元マイクロソフト幹部のJennifer Weitzel氏が率います。なお、GLPはマイクロソフト、デジタル・リアルティ、キンドリル、Metaから幹部を採用しています。

「世界初のコンピューター・プログラマーと言われるエイダ・ラブレス(Ada Lovelace)のように、私たちは社会に利益をもたらすテクノロジーの可能性を信じています。この精神に基づき、私たちは世界で最も変革的な企業の増大し続けるキャパシティ・ニーズを満たすと同時に、地域社会や地球にも良い影響を与えることを約束します。私たちは、現在だけでなく、将来にわたって、お客様が一緒に働きたいと思い、従業員が働きたいと思うような会社を築いていきます」とWeitzel氏。

2009年に設立されたGLPは、ロジスティクス、デジタルインフラ、および関連技術を扱うグローバルな投資運用会社です。

同社は以前、2018年に中国のデータセンターへの投資を行った後、「競争力のあるデータインフラ事業」を構築したと発表しました。2019年、GLPは現地のデータセンター企業Cloud-Tripodの株式60%を取得しました。

同社は中国では常熟市と淮来市にもデータセンターを有しており、将来的には市場内容量が1.4GWに達する可能性があるとしています。なお、中国の施設はAdaとは切り離して管理されています。

GLPは以前から中国国外でのデータセンター事業について言及していましたが、詳細を明らかにしたのはごく最近のことです。

今年初め、GLPは東京に新規データセンターを着工しました。3,400平方メートル(36,600平方フィート)の敷地に建設される東京ウエスト1(TKW1)は、合計31MWのIT負荷に対応する3棟の建屋からなるキャンパスです。1号棟は2025年2月までにサービスインする予定で、8,700平方メートル(93,650平方フィート)で10MWを供給します。2 号棟と 3 号棟はそれぞれ 10MW と 11MW を提供する予定となっています。

シンガポールを拠点とする同社は昨年、今後5年間で約120億ドルを投資し、日本で900MW規模のデータセンターを提供する計画であると発表しました。

同社の新しいウェブサイトでは、同社は日本で900MWの容量をコミットしており、東京に4つ(TKW1、TKW2、TKE1、TKE2)、大阪に1つ、合計600MWの5つのキャンパスを計画している、と説明しています。

大阪イースト1は、2026年に4階建ての建屋1棟から16MWを供給する予定です。東京ウエスト2は2026年に5階建て8棟で295MW、東京イースト1は2026年に4階建て3棟で66MW、東京イースト2は2027年に4階建て4棟で190MWを供給する計画となっています。

一方英国では、Adaはロンドン東部のドックランズに210MWのキャンパスを開発中であると発表しました。8階建てのビル3棟で構成されるこのサイトは2026年にサービス開始が予定されています。

昨年PropertyWeekは、GLPがロンドン東部のニューアム地区に複数階建倉庫を建設する計画を中止し、データセンター計画を優先することを検討していると報じていました。

また、GLPはブラジルではリオデジャネイロとサンパウロに合計100MWの2つのキャンパスを計画しています。リオでは2025年に平屋建ての建屋3棟で60MWを、サンパウロでは2025年に平屋建ての建屋2棟で40MWを提供する予定です。

さかのぼること2021年初頭、GLPはDCセクターからの撤退を検討しており、中国のクラウドおよびデータセンター企業であるGDSホールディングスに、80億ドルから100億ドルでの事業売却を検討していました。しかし、評価額の不一致によりその取引は破談となりました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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