自社サーバからクラウドへ!移行メリットと運用上の注意点【コラム】

2008年に産まれたクラウドサービスは、今や社会のあらゆる場所に浸透してきました。

この記事をご覧の皆さんの中には、自社サーバからクラウドサービスの利用に乗り換えるうえで、どのようなメリットがあり、どのように運用すればいいのかという検討を進めている企業もいると思われます。

注:本文中でいう「自社サーバ」とは、自社ビルのサーバ室内に設置するものに加え、ハウジングやコロケーション施設に設置するものも含みます。(いわゆる オンプレミス )また、本文中でいう「クラウド」とは、主に IaaS (Infrastructure as a Service)の形態を指します。

AWSを中心にMicrosoft AzureやGoogle Cloud Platformなどのクラウドサービスを利用する企業が増えてきており、更には、最近の、日本政府がAWS採用のニュースもありましたが、政府機関でもクラウドの採用が進んできています。そのような中、自社サーバからクラウドに移行した方が経営上のメリットを大きくできるのではないか?という考える人がいても不思議ではありません。

そこで今回、クラウド移行を検討されている方に、自社サーバからクラウドサービスの利用に乗り換えるうえでどのようなメリットがあり、一方、運用上の注意点について紹介していきます。

クラウド移行のメリットとは?

自社サーバからクラウドに移行するうえでどのようなメリットがあるのでしょうか?具体的には以下のようなメリットが上げられます。

① 初期費用を抑えて導入できる

クラウドサービスの利用を行う際には、サーバやネットワーク環境、あるいは基盤となる ラック や電源、 UPS などのインフラ設備を一から自社内で構築する必要がないので、設備面や導入にかかわる人件費などの導入コストを抑えられます。また、素早く導入できるうえ、無料で導入できるサービスもあるなどのメリットもあります。

新しいサービスなどを導入する際に初期費用はどれくらいかかるのかに関心がある企業の担当者の人もいると思われますが、一般的にクラウドの導入は初期費用をなるべく抑えて導入ができるので、IT予算の負担を抑えることが可能です。

② 維持・管理にかかる費用を抑えられる

クラウドサービスを利用する際には月額などの一定期間に対する利用料を支払い、サービスを利用する必要がなくなれば素早く解約することもできます。

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また、サーバを稼働させるための電気代・場所代が不要となります。 ( CAPEX <設備投資コスト>の削減) サーバやストレージ、ネットワーク機器などのICT機器の保守費用も掛かりません。また、運用・監視するための人件費も減らすことができるため、運用担当のインフラエンジニアを社内で雇用する必要がなくなるので維持・管理にかかる全体的なコストを安く抑えることができます。 ( OPEX <運用コスト>の削減)

また、運用時に何か問題が発生した場合には、クラウドサービス事業者側が対応してくれますので、安心してクラウドサービスを利用することができます。

③ OSやアプリの自動アップデートがある

自社でサーバの管理をしている場合には、OSやアプリなどのソフトウエアやシステムなどのアップデートを逐一自社で行う必要がありますが、クラウドサービスを利用する場合には、逐一自社で行う必要がありません。

アップデート作業などを省略することができるので、本業に集中することができ、業務効率を上げることができます。

クラウドの運用の注意点には何があるのか?

クラウドの導入には、どのようなメリットがあるのか理解していただけたと思います。

ここからは、クラウドを利用し運用するうえでどのような点に注意すればいいのかについて説明していきます。

① セキュリティの管理

クラウドサービスであれインターネットに接続する必要のあるサービスには、個人情報や機密情報の情報漏洩などが発生してしまうリスクがあります。

クラウドの利用の際には、セキュリティ対策についてはクラウドサービス事業者が対策を行ってくれることになっていますが、利用者側として全くセキュリティについて考えないというのは危険です。

なぜなら、クラウドサービス事業者で働くエンジニアも人間であり、人間が管理している以上100%安心できるということはありえないからです。

サービス事業者がきちんとデータのバックアップを実行できているか?、暗号化処理は適切に行えているのか?、OS・ミドルウェア・アプリケーションのバージョンが最新の状態であるか?などを定期的に確認しておくことがセキュリティ上のリスクを抑えるうえで重要になります。

② システムのカスタマイズが難しい

クラウドサービスは、 プライベートクラウド (ホステッド型)のようなものは除いて、基本的に仮想化基盤に関する事項については自社の都合に合わせて利用ユーザ側から変更することができません。

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そこで、クラウドの導入時には、事前に自社で必要となるサーバのスペックや必要な機能などを把握したうえで、それらのニーズに合致したサービスを選択することが重要になります。

事前のサービス選択の計画をきちんと立てておくことによって、システムのカスタマイズが難しい問題をクリアすることができます。

③ クラウドも落ちることがある

自社サーバを自前で管理・運営するよりクラウドサービスを利用した方がシステムダウンのリスクから解放される、とお考えの方も多いかと思います。一般的にクラウドは、普通のオンプレミスより堅牢でセキュアだと言われています。しかし、クラウドも実は100%安心ではなく、ダウンするリスクを抱えています。

事実、以下の通り、この直近1年間で見てもAWS、Microsoft Azure、GCPは障害を起こしています。

もちろん各クラウドサービスプロバイダも完全なサービス停止を起こさないよう、各地域( リージョン )ごとに アベイラビリティゾーン (または ゾーン )を設け近接データセンター間の負荷分散、冗長構成を組んでいます。しかしながらあるデータセンターで障害が起きた場合に負荷が高まり、遅延が発生し、結果的に繋がらない、アクセスができないといったトラブルに見舞われることがあります。

特にわずかな時間のサービス停止でも業務や業績への影響が大きなシステムは、クラウドサービス自体や アベイラビリティゾーン の分散管理などで、自己防衛することになりますが、当然コストはそれに伴い上昇します。

まとめ

ここまで、自社サーバからクラウドサービスの利用に乗り換えるうえでのメリット、そして運用の注意点について簡単に説明しましたが、いかがでしたか?

自社サーバからのクラウドへの移行はメリットがとても大きいですが、完全にクラウドサービス事業者に丸投げしてしまうのではなく、こちらからもある程度セキュリティなどの対策をして機密情報、顧客情報などをしっかりと保護することも重要です。またサービス障害発生時の備えも考えておく必要もあります。

自社サーバからクラウドサービスへの乗り換えを検討されている方は、本記事で説明した内容を参考に、役立てていただければ幸いです。

あるいは、各企業は自社が運用するシステムの特性を考えたうえで、クラウドへの移行ではなく、あえてオンプレミスに留まるという判断もあるでしょう。