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日本に進出する外資系データセンターまとめ記事2024~2025【特集】

2020年6月に初版を、2023年5月には「2022〜2023年版」として第2弾を公開した、当メディアの特集記事 「日本に進出する外資系データセンター」。
おかげさまで多くの反響をいただき、「最新版をぜひ見たい」というお声も多数寄せられました。
そこでこのたび、第3弾となる「2024〜2025年版」を新たにまとめました。

今回の記事を作成するにあたり、これまでの特集をあらためて見直してみると、外資系データセンターの日本進出は年々確実に増加していることがわかります。
なんと今回は、前々回(10件)、前回(18件)を大きく上回る 27件のプロジェクト をピックアップしました。

AIブームなどによる旺盛な需要を背景に、この流れは今後さらに加速していくのか、それとも国内事業者を巻き込んだ過当競争に突入していくのか——。
当メディアでは引き続き、最新の動向を継続的に追いかけてまいります。

本特集が、皆さまの情報収集や業務の一助となれば幸いです。
それでは、2024年2月から2025年10月までの最新動向を、企業別に順にご紹介していきます。

AirTrunk

アジア太平洋&日本(APJ)で展開するハイパースケールデータセンター企業のAirTrunk は、2024年5月に印西に東京圏で2つめのデータセンター、TOK2(写真)を開設しました。このTOK2は最大で110MW以上に拡張可能な日本最大級のデータセンターです。一方で大阪圏においては20 MWの OSK1を2024年2月に着工し、着実にポートフォリオの拡張を進めています。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/22024/2 OSK120MW大阪西部
2024/5 2024/5TOK260MW千葉・印西

MCデジタル・リアルティ

2017年に国内初となる8MWの「KIX10」を開設して以来、三菱商事との合弁を経て、既に日本国内では老舗となりつつあるMCデジタル・リアルティですが、印西地域では、2021年開業のNRT10に続き、2024年3月に第2棟目となる NRT12(写真)を竣工し、NRTキャンパス全体の容量を73MWに拡大させ、AIインフラへの需要増大に対応する動きを示しました。 続いて5月には、3棟目となる「NRT14」データセンター建設に着工しました。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/32022/102024/3NRT1234MW千葉・印西
2024/52024/42025/12予定NRT1431MW千葉・印西

GDS

2024年4月に、中国のデータセンター企業GDSは、不動産プライベート・エクイティ企業Gaw Capitalと提携し、日本市場への進出の第一歩として、東京都府中市に総容量40MWのデータセンター・キャンパスを共同で建設する発表をしました。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/4 2026末予定 40MW東京・府中

ST Telemedia Global Data Centres(STT GDC)

シンガポールの国営政府系ファンドTemasekが保有するSingapore Technologies Telemedia子会社のST Telemedia Global Data Centres(STT GDC)は、アジア太平洋地域各地にデータセンターの建設を進めており、日本では印西市のグッドマンビジネスパーク内で同社の国内2棟目となるデータセンター施設「STT Tokyo 2」の建設開始を2024年4月に発表しました。さらに、既に建設が進められていた1棟目の「STT Tokyo 1」は、2025年6月25日に運用が開始されました。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/42024/42027Q1予定STT Tokyo 238MW千葉・印西
2025/62022/Q1?2025/6STT Tokyo 132MW千葉・印西

ESR(+Stack)(+Colt DCS)

アジアの不動産企業であるESRは、東京都江東区有明にデータセンター開発用地を取得し、受電容量60MWのデータセンターを建築する計画を2024年5月に発表しました。また、同年8月には大阪・南港北で建設が進められていた同社の旗艦データセンター「ESRコスモスクエアOS1データセンター」のコアおよびシェルが竣工したことを発表しました。その後2025年1月にESRは米CloudHQとのJVも設立し、CloudHQはOS1サイトでの運用を2025年6月に開始する予定のようです。

一方で、ESRは他社とのJVを積極的に設立しています。2025年3月には、StackとのJVで「ESR-STACK けいはんな(写真)」データセンターキャンパスの1棟目の建屋であるKIX01Aの建設を開始しました。KIX01Aの発電容量は18MWで、2027年第2四半期に稼働開始が予定されています。「ESR-STACK けいはんな」キャンパス全体では、最大で72MWが提供される計画です。更に2025年10月には、ColtとのJVも設立し、大阪府箕面市に総容量130MWのハイパースケールデータセンター用地の第1期開発計画を発表しました。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/52026/Q2予定2028/Q4予定 (最大60MW)東京・有明
2024/82022/112025/5?OS1

25MW(最大130MW)

大阪・南港北
2025/42025/32027/Q2予定KIX01A(+Stack)

18MW(最大72MW)

京阪奈地域
2025/1020272029後半(+Colt)

65MW

大阪・箕面

Ada Infrastructure

シンガポールを拠点とするAPAC地域の不動産大手GLPが昨年立ち上げたデータセンター企業のAda Infrastructureは31MWの Tokyo West 1 (TKW1)キャンパスで2棟目の建屋の建設を2024年5月に開始しました。1棟目に続き、2棟目の建屋も10MWの容量を提供する予定です。

同社は現時点で、東京に4カ所(TKW1、TKW2、TKE1、TKE2)、大阪に1カ所(Osaka East 1)、合計5か所のデータセンターの建設計画を発表しており、それぞれ、TKW1=31MW、TKW2=295MW、TKE1=66MW、TKE2=190MW、Osaka East 1=16MWの合計でおよそ600MWの容量となります。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/52024/52025?Tokyo West 1(2棟目)10MW(最大31MW)東京・多摩地区

エクイニクス

日本国内に既に多数のデータセンター拠点を有するEquinix(エクイニクス)は、2024年6月、大阪府箕面市にハイパースケーラー向けのxScaleデータセンター「OS4x」を開設したと発表しました。 「xScale」は、2019年にシンガポールの政府系ファンドGICと提携し、ハイパースケーラーのニーズに応えるために開発されたデータセンターブランドです。OS4xは2021年12月に開設されたOS2xに隣接し、合計で14.4MWを供給します。

さらに9月には、東京都内で12番目となるIBXデータセンター「TY15」のサービス提供開始を発表しました。設計および施工は、大和ハウス工業株式会社の「DPDCプロジェクト」として実施し、同社が手掛けた初の都心型データセンターとなりました。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/6 2024/6OS4x14.4MW大阪・箕面
2024/9 2024/9TY15 東京・品川

Empyrion Digital

シンガポールのEmpyrion Digital(エンピリオン・デジタル)も、日本市場に参入し、国内大手金融サービスグループ企業との契約を締結し、東京中心部において25MWのAI対応データセンター「JP1」を開発すると発表しました。JP1東京データセンターは、大手町、インターネット・エクスチェンジ、東京中心部から5 km以内の優れたネットワーク及び通信ファイバー接続を備えた戦略的な場所に位置し、生成AIとハイパフォーマンス・コンピューティングのワークロードをサポートするセンターとして設計されるようです。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/92025予定2027/Q4予定JP125MW東京中心部

関西電力サイラスワン

米国のデータセンター企業CyrusOneと関西電力株式会社(KEPCO)の合弁会社である関西電力サイラスワン株式会社(CyrusOne KEP)は、2024年9月に同社として日本初となるデータセンター「関西電力サイラスワン OSK1」の建設を開始しました。OSK1データセンターは、各フロアに8MWのデータホールが6つ設置され、4フロア最大で48MWが供給される予定です。第1フェーズの16MWは2028年第1四半期までに稼働する予定です。尚、関西電力サイラスワンは、今後10年間で少なくとも1兆円(70億ドル)を投じ、総合計で900MWの施設建設を計画すると2023年5月の合弁設立時に発表していました。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/92024/92028/Q1予定OSK116MW(最大48MW)京都・京阪奈地域

STACK Infrastructure

2024年10月、シンガポールを拠点とするSTACK Infrastructureも、千葉県印西市に日本における初施設の完成を発表しました。18MWの建屋2棟で構成される最大容量36MWのTKY01キャンパスは、高度なセキュリティ機能とAI対応機能が備わっており、アジア太平洋地域における同社の事業拡大における重要なマイルストーンとなります。

同社はまた、2025年3月には、ESRとのJVで「ESR-STACK けいはんな」データセンターキャンパスの1棟目の建屋であるKIX01Aの建設を開始しています。(※ESR欄も併せてご確認ください)

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2024/10 2024/10TKY0116MW(最大36MW)千葉・印西

Vantage Data Centers

DigitalBridge傘下の米Vantage Data Centers(Vantage)も、2025年1月に大阪キャンパスで国内初の施設KIX1の竣工を発表しました。この施設の着工は2024年5月なので、約半年の短期間で完成したことになります。最大68MWを提供するこのキャンパスの第1号棟は28MWのITロードを提供し、サービス開始は2026年初頭まで行われる予定のようです。 尚、大成建設がこのプロジェクトの建設を行っています。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2025/12024/52025/1KIX128MW(最大68MW)大阪・茨木

EdgeConneX

世界中でおよそ80のデータセンターを展開するデータセンター企業のEdgeConneXもカゴヤ・アセットマネジメントと提携し、日本市場へ進出すると発表しました。

同社はまず、大阪・京都エリアでの施設開発計画を2025年1月に発表しました。このデータセンターは、2026年初頭に建設開始予定で、2027年第4四半期のサービス開始を目指し、完成時の総容量は140MW以上となる見込みです。続いて8月には第2データセンター用地の取得も発表しました。第2施設は最大で150MWの容量が予定され、日本国内でのEdgeConneXの総容量は350MWとなる見込みのようです。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2025/12026Q1予定2027/Q4予定 (最大140MW)大阪・京都エリア
2025/8   (最大150MW)大阪・京都エリア

Global Compute Infrastructure(GCI)

2020年に設立されたゴールドマン・サックスのデータセンター部門である Global Compute Infrastructure(GCI) は、不動産会社 Asia Pacific Land(APL)グループ と提携し、2025年1月、福岡県北九州市で合計120MW規模のデータセンターキャンパスを開発する計画を発表しました。建設は2026年に着工し、最初の60MWフェーズが2027年9月に稼働を開始する予定です。

さらにGCIは、福岡県糸島市にもデータセンター用地を取得しており、こちらは2025年春に建設を開始します。段階的な運用を経て、2034年までに全面完成を予定しています。これらのプロジェクトが完了すると、2029年までに福岡県内で約250MWのデータセンター容量を提供できる見込みです。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2025/12026予定2027/9予定 60MW(最大120MW)福岡・北九州

Colt Data Centre Services(Colt DCS)

1999年から国内で事業展開する老舗のColt Data Centre Services(Colt DCS)は現在、国内では大阪で2か所、東京で計5か所のデータセンターを運営しています。同社は2025年2月、印西に新たなデータセンター「Inzai 4」の開設を発表しました。

2023年4月に着工したInzai 4の第1フェーズの4.8MWは完了し、運用は開始しています。施設の完成時には20MWを供給し、そして同社の印西における総容量は70MWとなります。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2025/22023/42025/2Inzai 44.8MW(最大20MW)千葉・印西

CapitaLand Investment Limited(CLI)

シンガポールに拠点を置く世界的な不動産資産運用会社CapitaLand Investment Limited(CLI)は、2025年3月、国内初のデータセンターを開発する目的で、大阪の土地区画を取得したと発表しました。このプロジェクトでは、50MWの電力容量が確保されています。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2025/3   (最大50MW)大阪

Princeton Digital Group(PDG)

オーストラリアに本社を置く不動産インフラ大手のレンドリース、そしてシンガポールを拠点とする大手データセンタープロバイダーのPrinceton Digital Group(PDG)は、2025年4月に日本国内初のTY1キャンパスの正式稼動を発表しました。埼玉県さいたま市に位置するこの施設は、高性能AIコンピューティング用途向けに建設され、96MWのIT容量を提供します。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2025/42022/62025/4TY196MW埼玉・さいたま

FLOW Digital Infrastructure

2025年7月には、アジア太平洋地域における代表的なオルタナティブ投資会社であるPAGのデジタルインフラプラットフォームである FLOWデジタル・インフラストラクチャー(FLOW)が、東京都心部における新たなデータセンターキャンパスの建設を開始したことを発表しました。 新しいデータセンターは、「TK7」と「TK8」の2棟で構成され、合計30MWのIT負荷が見込まれています。6MWのIT負荷を伴うTK7は第一棟目として、2027年第1四半期のサービス開始を予定しています。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2025/72025/72027/Q1予定TK7/TK86MW(最大30MW)東京都心部

Gaw Capital + DayOne

グローバルに事業を展開するマルチアセット投資運用会社のGaw Capitalと、シンガポールに本社を構える世界的データセンター開発・運用会社DayOneは2025年8月、東京都府中市で開発中のGaw Capitalのデータセンターキャンパス内で1期棟の建設を開始したと発表しました。

府中インテリジェントパーク内に位置するこのキャンパスは、全体で80MWのIT容量に対応します。完成すると、IT負荷ベースで府中市内最大級のデータセンターとなる予定です。

掲載年月着工竣工(予定含む)サイト名称容量場所
2025/82025/82027/半ば予定 18MW(最大80MW)東京・府中

今回のまとめは以上となります。もし情報の相違やご指摘事項などありましたら、お問合せください。

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