スロベニアでスパコン用データセンターが着工

プロジェクトには1800万ユーロ投資

スロベニアで新しいデータセンターの起工式が行われました。

スロベニア政府によって発表されたこの新しいデータセンターには、スーパーコンピューターと同国の「AI factory」が設置されます。

5月6日、マリボルにある場所で起工式が行われました。Slovenia Timesの報道によると、このデータセンターには1,800万ユーロ(2,021万ドル)が投資され、完成後はAcademic and Research Network of Slovenia(ARNES)が運営するとのことです。

このデータセンターは2026年半ばに完成する予定で、その時点では新しいスーパーコンピューターと、1億5000万ユーロ(1億6840万ドル)とされるEU後援のプロジェクト「Slovenian AI Factory」が設置されます。

使用されるハードウェアや予想される計算能力など、次期スーパーコンピューターの詳細は明らかにされていません。

このプロジェクトは、European High Performance Computing Joint Undertaking(EuroHPC)によって、他のEU12か国の「AI factory」とともに資金提供の対象に選ばれました。同じくマリボルにあるVega HPCシステムに次ぐ、スロベニアで2番目のスーパーコンピューターとなります。

データセンターとそれぞれのHPCシステムの計画は、2024年6月に初めて発表されました。その際、データセンターはドラーヴァ川の水力発電所を運営する国営企業DEMの本社に隣接する土地に設置されることが明らかにされました。

データセンターからの廃熱は、マリボル市が所有し、Energetika Mariborが運営する温水配給ネットワークを通じて送られる地域暖房ネットワークで利用されます。

起工式にはスロベニアのRobert Golob首相が出席しました。このプロジェクトについて、同首相は次のように述べました。「私たちは、さまざまな場所から収集したデータをひとつの場所に集め、スーパーコンピューティング能力やAI factoryと組み合わせ、持続可能性の要素を統合します。」

「このプロジェクトは、ドラーヴァ川からのクリーンエネルギーと、マリボル市を暖めるための余熱利用を組み合わせたもので、この要素によってプロジェクト全体が持続可能なものになります。」

ARNESのウェブサイトによると、データセンターの屋根にはソーラーパネルも設置されるようです。

同氏は、「これは新しい時代の象徴的な始まりであり、ドラーヴァ川が再びマリボル発展の原動力となるのです。今回は産業を通してではなく、知識、AI、そして何よりも国全体のより良い未来を形作ることを通して実現されます。」と締めくくりました。

スロベニアで一番最初のスーパーコンピューターVegaは、Atosによって2021年4月に稼働を開始し、6.9ペタフロップスの計算能力を持ちます。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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