クラウド大手3社の2022年Q3決算 ~マイクロソフト、グーグル、AWS

マイクロソフト、Amazon、グーグルの3社が今週、四半期決算を発表しました。

3社とも、それぞれのクラウド事業で健全な収益を上げ続けていますが、すべてがバラ色というわけではないようです。

グーグルはGCPで引き続き損失を計上し、マイクロソフトはエネルギーコストの上昇もあってクラウド収益が第2四半期に比べて停滞、AWSは収益の増加にもかかわらず利益が再び減少しました。

Google Cloud ~収益は増加、損失は継続

Google Cloudの収益は68億6000万ドルで、2021年の49億9000万ドルから増加しました。損失は6億4400万ドルから6億9900万ドルへとわずかに拡大しました。

同社は採算化に向けてゆっくりと歩みを進めているようです。第2四半期決算では、63億ドルの収益に対し、GCPの損失は8億5800万ドルに達していました。

会社全体の第2四半期の収益は690億ドルでした。これは2021年第3四半期比で40億ドル近くの増加となりますが、営業利益と純利益はそれぞれ40億ドル、50億ドルほど減少しています。

アルファベットとグーグルのCEOを務めるサンダー・ピチャイ氏は、次のように述べています。「我々は、プロダクトとビジネスのプロフェッショナルを明確にした上で、フォーカスを研ぎ澄ましている。この1カ月間だけでも、AIを活用した検索とクラウドの大幅な改善、YouTube Shortsの新たな収益化方法など、私たちが行った製品発表がそれをはっきりと示している。私たちは、長期的に責任ある投資を行うことと、経済環境への対応の両方に重点を置いている」

また、同CFOのルース・ポラット氏は、次のように述べています。「当社の第3四半期の収益は691億ドルで、前年比6%増、恒常為替レートベースでは11%増となった。第3四半期の業績は、為替の影響を受けつつも、検索分野の健全な基礎成長とクラウドの勢いを反映している。私たちは、最優先の成長課題に取り組むため、リソースの再編成に取り組んでいる」

またポラット氏は、データセンターとハードウェアが売上原価を押し上げていると述べています。「その他の売上原価の前年同期比増加の最大の要因は、引き続きデータセンターとその他の事業です。今期は第3四半期に大きな変化があり、2番目に大きな要因はハードウェアでした」

彼女は、企業や政府の「パブリッククラウドの導入はまだ初期段階にある」と同社が考えている点について言及しました。

「我々はそれに応じて投資を続けている。「我々は、収益性を高めるための長期的な道筋に注力を続けていく」

Google Cloudは、ベルリン、ダンマム、ドーハ、マレーシア、メキシコ、タイ、トリノといったリージョンが本稼働を控えている状況です。

マイクロソフト ~エネルギーコストで8億ドル追加

マイクロソフトのインテリジェントクラウド部門の収益は203億ドルで、2021年の前四半期比で20%増加しました。分割はしていないが、サーバー製品およびクラウドサービスの収益が22%増、Azureおよびその他のクラウドサービスの収益が35%増となったという。

ただしこれは、前四半期比では若干の減少となります。インテリジェントクラウド部門の第2四半期の収益は209億ドルでした。尚、第1四半期は191億ドルでした。

会社全体では、収益は501億ドルを記録。営業利益は215億ドル、純利益は176億ドルと14%減少しました。

マイクロソフトの会長兼CEOであるサティア・ナデラ氏は、「逆風が強まる世界において、デジタル技術は究極の追い風となる」と述べています。「このような環境の中で、私たちは、お客様がより少ないコストでより多くのことを行えるよう支援することに注力する一方、安定した成長分野への投資と規律あるコスト構造の管理を行っていく」

マイクロソフトのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高財務責任者(CFO)のエイミー・フッド氏は、次のように述べています。「今四半期のマイクロソフト・クラウドの収益は257億ドルで、前年同期比24%増(恒常為替レートでは31%増)でした。私たちは、顧客に魅力的な価値を提供することで、今期も堅調な売上を記録するなど、商用ビジネス全体で健全な需要を引き続き確認しています」

マイクロソフトは、売上原価は18億ドル(13%)増加したと述べています。これは、マイクロソフトのクラウドやゲーム事業の成長によるものですが、サーバーとネットワーク機器の耐用年数の会計処理を変更したことによる減価償却費の減少により一部相殺されています。

また、Azureやその他のクラウドサービスの利益率が低下したのは、主にエネルギーコストの上昇によるもので、決算説明会では、「予想を上回る8億ドル超のエネルギーコストが発生している」とフッド氏は説明しました。

AWS ~収益は引き続き拡大、利益はわずかに減少

AWSの2022年第3四半期の収益は、2021年第3四半期の165億ドルから前年同期比27%増の205億ドルとなりました。営業利益は54億ドルと、2021年第3四半期の営業利益49億ドルから減少しました。

今年度前四半期比でも収益は増加したものの、利益はわずかに減少しました。2022年第2四半期のAWSの収益は197億ドル、営業利益は57億ドルでした。同じく第1四半期の収益は184億4000万ドル、利益は65億ドルでした。次の四半期末までにAWSの合計収益は800億ドルに到達する可能性が高いと見られます。

Amazon全体では、第3四半期収益は15%増の1271億ドル、営業利益は25億ドルに減少しました。尚、AWSの昨年第3四半期の営業利益はおよそ49億ドル。純利益は29億ドルでした。

Amazonのアンディ・ジャシーCEOは、次のように述べています。「店舗とフルフィルメントネットワークのコスト削減を着実に進めていることを心強く思っている、そして今後、ビジネスにとってより強力なコスト構造をもたらすと信じ、計画的に取り組んでいる一連のイニシアチブを持っている。マクロ経済環境には明らかに多くのことが起こっているが、私たちは、主要な長期的・戦略的な賭けを妥協することなく、より合理的となるよう投資のバランスを取っていく」

決算説明会では、CFOのブライアン・オルサフスキー氏が次のように述べていました。「マクロ経済の不確実性が続く中、コスト抑制に注力するAWSユーザーが増加している。そして、AWSは歴史を通じて行ってきたように、特に経済が不透明な時期には、お客様のコスト最適化を支援するために積極的に取り組んでいる」

エネルギーについては、彼は次のように述べています。「エネルギーコストについても、電力や天然ガスの価格がパンデミック前に比べて大幅に上昇している。これらの価格はここ数年で2倍以上に上昇している。私たちは、より少ないエネルギー消費でオペレーションを最適化する方法を継続的に探していく」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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