フィンランドのRemovが地域暖房による7.2MWのデータセンター

セイナヨキの施設は2021年に提案されたデータセンターのブランド名を変更する見通し

フィンランドのデータセンター開発会社Removは、セイナヨキにおける廃熱を共有する7.2MWのデータセンターを発表しました。この発表は2021年に開始されたプロジェクトのための新しい名称の模様です。

Removによれば、開発中のキャンパスで発生する熱の90%は回収され、地元の公益企業Seinäjoki Energyが運営している地域暖房設備で利用される予定になっています。この30ヘクタールの敷地には最大150MWの発電能力がありこの熱エネルギーがすべて回収されれば、セイナヨキが必要とする暖房需要の大部分を賄えると述べています。また同社はこれにより「カーボンネガティブなデータセンター用エコシステム 」になると主張もしています。

このデータセンターはRittalによって建設予定で市とフィンランド政府の支援を受けています。

この発表は詳細をほとんど明らかにしていませんが、2021年6月にセイナヨキが発表した計画と非常に類似しており、同じパートナー(RittalとSeinäjoki Energy)が参加したもので、同じようにカーボンネガティブであると主張しています。

Removの発表によると、このデータセンターの電気使用効率(PUE)は1.1、「エネルギーの流量比」は1.0となる見込みです。フィンランドの自然エネルギー網、電力価格の競争力、寒冷な気候、豊富な冷却用水、そして熟練した従業員の恩恵が受けられます。この施設は、稼働率に関する要求事項であるTierIIIに適合しているとのことです。

Removによれば、この施設は廃熱の96%を回収し、90%以上を地域の熱ネットワークで利用する予定であり、これらは 「 世界最高水準の効率 」であることを付け加えて述べています。

2021年6月12日付けの報道で、セイナヨキは2022年末までに「世界最先端の環境に配慮したデータセンター」を建設すると発表しました。この施設はグリーン電力を使用する予定で、空港からほど近い幹線道路と鉄道線路沿いに位置し、アジアおよびヨーロッパからの新たなファイバー接続へのアクセスが可能となっています。

2021年の発表では、廃熱の90%以上をSeinäjoki Energyの地域暖房網で使用し、「カーボンネガティブ」にすると約束しています。北欧では多くのデータセンターが廃熱を再利用している中で、「世界初」のカーボンマイナスデータセンターになるとして同市は主張しています。

この施設にはRittalが設計した 「完全に新しい技術 」が使用される予定です。フィンランドのRittal営業部長Mikko Ahoは次のように述べました。「このプロジェクトには当初から関心を持っていました。私たちは、環境に配慮したエネルギー効率の高いプロジェクトの開発に関与したいと考えています」

このプロジェクトは、Kiinteistö Oy DC Seinäjoki と Kiinteistö Oy DC Seinäjokiが共同出資して建設される予定となっています。

フィンランド経済省のMika Lintilä大臣とセイナヨキのJaakko Kiiskilä市長からも支持されており、次のように述べています。「新しいデータセンターは、たとえばフィンランド市のCo2排出量を大幅に削減します。またフィンランド全体のCo2排出量にも影響を与えます」

Kiiskilä市長は次のように述べています。「この施設は、セイナヨキの町とこの地域のすべての経済活動に新たな機会を提供するものであり、大規模な投資であり、その成長が終わる見込みのない業界において重要なスタートを切ったことになります」

Seinäjoen EnergiaのCEOであるVesa Hätiläは次のように述べました。「2030年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を実現するためには、今回のデータセンターからの熱は最適なソリューションになり、データセンターの熱は、当初はセイナヨキが必要としている地域暖房の10分の1程度で将来的には3分の1程度になるでしょう。データセンターの熱で、地域暖房エリア内のセイナヨキにある全ての小規模住宅を暖めることができます」

2021年の発表では、第1期のSeinäjokiデータパークは約1億ユーロ(1億1,000万ドル)で建設され、その合計額は10億ユーロ(11億ドル)になる可能性があることが約束されていました。建物は3,400万ユーロから3,900万ユーロ(3,700万ドルから4,300万ドル)で建設され残りの費用はデータセンター設備に割り当てられる予定となっていますが、この費用は 「エンドユーザーが求める技術の内容 」によって異なる可能性があります。

この施設のターゲットは、「特別な企業固有の要件を備えた世界的な企業」とされており、おそらくハイパースケールクラウドプレイヤーと思われます。

DC Byteによると、この施設はKiinteistö Oyによって建設されInternational Data Center Oyという会社によって運営される予定で進められていましたが、実際の建設は「まずどのような企業が必要とされるかが明確になるまで延期」されました。

DCDは、Remov、Rittal、International Data Center Oy、そしてセイナヨキに連絡を取り今回のプロジェクトがどのように変化し発展してきたのか詳細を取材しました。

これに対してRittalのMikko Ahoは、同様のプロジェクトであることを認めました。「Remov.coはどちらかというとマーケティングのブランドに近いものです。」

Remov社自身は、同社がテナントと交渉中であり、2023年末までに着工したい意向であることを明らかにしています。地元の電力会社は110Kvの環状ネットワークを設置し、地表は岩盤まで清掃されており、建設開始の準備は整っています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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