USのデータセンターは、削減により76GWグリッド容量を解放可能に

データセンターによる負荷柔軟性対策が、新たな容量を促進する可能性があるとの調査結果

データセンター事業者が送電網にストレスがかかる時間帯にエネルギー使用を抑制することで、米国内で最大76GWの新たな容量を確保可能だと結論づける報告書が発表されました。

この報告書は、Duke University’s Nicholas Institute for Energy, Environment, and Sustainabilityによって発表されたもので、データセンターによる負荷の柔軟性を高めることで、新たな大規模負荷の相互接続をより迅速に行うことができ、同時に発電所や送電線への追加投資の必要性を早急に減らすことができると主張しています。

この研究では、グリッドが既存の容量を使用して、適度で短い使用量の削減でどれだけの追加負荷を吸収できるかを説明する、削減対応ヘッドルーム (Curtailment-enabled headroom)という新しい概念が導入されています。

報告書によると、平均的な抑制時間は2時間で、最大100GWの新たな大負荷を送電網に供給することができ、これは全世界のデータセンターが使用するエネルギーよりも多いとのことです。新しい負荷は、毎年最大稼働時間の平均0.5%抑制され、特に暑い時期や寒い時期にグリッドがピーク需要を満たすのに役立ちます。

また、報告書は、年間の推定抑制時間がすでに米国各地で実施されている需要応答プログラムに匹敵すると指摘しています。長年にわたり、電力会社は大口のエネルギー利用者に対し、需要ピーク時の使用抑制を奨励してきました。しかし、これまでデータセンターはこれをほとんど避けており、顧客の需要を満たすために稼働時間と性能レベルを維持しています。

しかし、この研究は、データセンターはその柔軟性から需要に対応できる理想的な参加者になり得ると主張しています。データセンターは、さまざまな手段で電力使用量を削減することができる可能があります。

時間的な柔軟性とは、AIモデルのトレーニングのようなコンピューティングタスクを、需要が高い時間帯に短時間の抑制に対応するように再スケジュールすることを示します。

また、空間的な柔軟性を確保するという手段もあり、データセンター事業者は、需要が高くない地域に計算タスクを移動させることができます。

さらに、電力不足を補うために代替電力を利用することもできます。これは、2時間を超える蓄電容量を持つバッテリーストレージの利用を増やすことで強化できます。

このような対策によって新たな発電源の必要性がなくなるわけではありませんが、米国の電力網への圧力を大幅に軽減し、より多くの大負荷を電力網に供給しやすくすることが可能です。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。