OVHcloud火災調査報告書~SBG2データセンターは木造天井で消火器もカットアウトスイッチも非設置であった

火災事故から1年後、バ=ラン消防局が調査を終了

ストラスブールのOVHcloudデータセンターが全焼した大火災事故から1年後、地元の消防局がフランスのDC事業者の施設を強く批判する報告書を公表しました。

バ=ラン(Bas-Rhin)消防局の報告によると、SBG2データセンターには自動消火装置が設置されておらず、一般的な電源のカットアウトスイッチもなかったとのことです。また、施設の天井は木造で耐火性能は1時間しかなく、フリークーリング設計であったため、結果的に「煙突」ができて火災の勢いが増してしまっのだとしています。

2021年3月10日に起きた火災ではSBG2のビル全体が炎上し、敷地内にあった他のデータセンター施設も被害を受けました。その後OVHcloudは責任を果たさず、被害を受けた企業に対し十分な補償を行っていないとして、103社以上の顧客が集団訴訟に参加しています。同社は「公式な報告を待つ必要がある」として、火災の原因を明らかにしていませんでした

このサイトの深刻な欠陥は、昨年4月にZDnet.frで報告されていました。本日、Le Journal Du Net (JDN)でその報告が検証されています。

電源遮断まで3時間

それによると、現場の消防士が電源室のドアの周囲で1メートル以上のアーク放電を発見したが、ユニバーサルカットアウトスイッチがなかったため電源を遮断するのに3時間かかったとされています。

報告書には、「閃光は印象的で、耳障りな音がした」と記載されています。電源室は、1時間ほどの耐火設計の木製天井で、電線ダクトは断熱処理されていませんでした。

火災は午前0時40分に発生し、午前1時20分には地元の電力会社Electricité de Strasbourgが現場に到着したが、「電源を遮断するのが困難だった」とJDNは報告しており、電源システムのインバーターに電流がまだ流れている状態で、3時間にわたって現場を遮断することができず、最終的に3時28分までかかってしまったようです。このため、OVHの一部の顧客では、火災発生後もサーバーが稼働し続けていたことが判明しました。

火災は電力室から抜け出した後、急速に拡大しました。報告書によると、「内部にあった2か所の中庭が火災の煙突の役割を果たした」とされています。JDNは、このサイトのフリークーリング設計(建物内に外気の流れを促してサーバーを冷却する設計)が延焼を加速させた可能性があるとしています。

DCDは現在、OVHcloudに対し詳細情報についての問い合わせを行っています。

火災報告書PDFから抜粋した画像ギャラリーはDCDの原文記事にてご覧いただけます。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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