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PUEは年老いてしまったのか?【特集】

データセンター業界における次なるエネルギー効率指標とは?

2006年にクリスチャン・ベラディとクリス・マローンが提唱し、グリーングリッドが推進して以来、PUE(Power Use Effectiveness)は、データセンターのエネルギー効率を測定するデファクトメトリクスになっています。

PUEは、施設の総消費電力とIT負荷の消費電力の比率を示すものであり、計算が簡単で、技術者でなくても広く理解できるシンプルな指標です。

しかし、優れた施設がPUE1.1未満へと移行し、カーボンニュートラルの達成を目指す企業が増えるにつれ、PUEからの移行をすべきかどうかを検討する時期に来ています。そして、もしそうなら、どのような方法になるのでしょうか?

PUE:自らの成功の犠牲者

完璧な世界では、PUEは「1」であり、データセンターに入るすべてのキロワットのエネルギーは、ITハードウェアへの電力供給にのみ使用されます。完璧な「1」というのはおそらく不可能ですが、エネルギー使用量を迅速かつ容易に測定できるようになったことで、改善が進みました。

Uptime Instituteによると、PUEの業界平均は2007年の約2.5から、現在は約1.5まで低下しています。しかし、Uptime社でさえ、この指標は長い年月を経て「錆びついている」ように見えると述べています。

Kao Data社CTOの Gérard Thibault (ジェラール・ティボー)氏は、「PUEは、2016年にISO/IEC 30134-2:2016でグリーングリッド規格が発行されて以来、最も人気があり理解しやすく、それゆえ広く使われている指標の1つである」と述べています。「そのシンプルさが鍵であり、多くの点で顧客は、ITが消費するエネルギーに対して費用対効果の高い課金を行っているか、あるいは、どの程度サステナブル(持続可能)であるかを評価するための指標として活用していると思う」

「やや複雑なこの業界において、PUEはエネルギー効率の明確な指標として顧客に受け入れられ、持続可能性の証明と密接に関連するようになった」

しかし、10年以上経過した今、PUEは自らの成功の犠牲者になり始めている、と Facebookなどのデータセンターを顧客に持つ エンジニアリング企業CundallのパートナーMalcolm Howe氏はこのように話しています。

「PUEは、業界にとって非常に有益なツールだった。そして、本来意図された役割を果たすことで、データセンターのエネルギー効率を大幅に向上させることができた」と彼は言います。

「ただ、PUEは、表面的には簡単に理解できるが、その裏をかくと、いろいろと問題があるのです」

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