AmazonのCO2排出量が再び18%増加、それでも2040年までにゼロカーボン達成を明言

AmazonのCO2排出量は2年連続で18%増加したようです。それでも2040年までのカーボンニュートラル達成を同社は明言しています。

今週発表された同社の昨年度のサステナビリティレポートによると、2021年は再生可能エネルギーからの使用電力量を増加させたと記されています。

しかし、事業が大幅に拡大したことで、運営に伴う直接排出量は26パーセント増加しました。また、Amazonのサプライチェーンから排出される「スコープ3」排出量も(これはコントロールが難しいことで知られているが)、21パーセント増加し、合計では18パーセントの増加となりました。

尚、昨年発行された同社初のサステナビリティレポートでは、2020年の同社の排出量は19パーセント増と記されていました。それでも、同社は引き続き「2040年までに事業所全体の炭素排出量を正味ゼロにする」と宣言しています。

成長しながら、排出量を削減することはできるのか?

Amazonのサステナビリティ担当副社長カーラ・ハースト氏は、アマゾンの脱炭素化のスピードが成長に追いついていないことを示す報告書の冒頭で、「これまでの進捗を誇りに思うが、もっとやるべきことがあると認識している」と述べまています。

100ページに及ぶ報告書の環境セクションには、「脱炭素化に取り組む一方で、Amazonは急成長している」と記されています。

同社は2021年に収益を37%伸ばし、フルフィルメントネットワークの規模を倍増させましたが、これは物理的なプレゼンスを拡大する必要があったことを意味します。「私たちは、コンシューマー向け事業とクラウド事業それぞれで、新しい施設を建設し、配送網を拡大しなければならなかった」

Amazonは、これをできるだけ効率的に行うために、電気自動車の採用や風力・太陽光発電の調達を増やしてきたため、エネルギー使用量は比率としては良くなっているが、絶対値としては良くはないと述べています。

「2021年の成長全体に伴い、我々の絶対的なCO2排出量は18%増加したが、しかし重要なのは、炭素強度が1.9%減少したことだ」

これは、Amazonが収益1ドル(商品総売上高、GMS)あたりの炭素排出量を減らしていることを意味しますが、これは実質的な成長によって打ち消されています。

「企業が新製品や新サービスに投資し、事業が大きく成長した場合、企業の二酸化炭素排出量の絶対値だけに注目するのではなく、二酸化炭素の排出強度を下げているかどうかにも注目する必要がある。時間をかけて炭素原単位を下げ続けることで、絶対的な排出量を減らすことができる」

報告書の付録データによると、電力購入契約の積極的な利用により削減された電力の直接使用に関連する排出量を除き、同社の二酸化炭素排出量はすべての項目で増加しています。

「一部の事業で排出量の削減に成功した一方で、他の事業ではまだ変革の途上にある」と報告書は述べています。「いくつかのアクションや投資はすぐに二酸化炭素を削減することができる、一方で他のものは結果を示すのに何年もかかってしまう。ネット・ゼロ・カーボンへの道筋には多くの障害があるが、私たちは大きな挑戦をすることで成長していく」

Amazonは、直接使用する電力において85%の再生可能エネルギー化を達成し、2025年までにこの数字を100%にする計画ですが、同社は時間単位のPPAではなく、「生産量に応じて支払う」PPAを利用していることに留意する必要があります。つまり、これはAmazonの需要曲線にマッチしていないため、Amazonが負担している再生可能エネルギーの多くが他の顧客によって消費されていることになります。

Amazonは、よりサステナブル(持続可能)な施設の建設や、サプライチェーンの脱炭素化も計画している、としていますが、これらの目標についての期日や指標は示されていません。同社は2019年に「Climate Pledge」を発行しましたが、以前、環境対策の進捗を批判する従業員に制裁を加えたことがあります。

最大の批判の一つは、Amazonが「事業全体で」ネットゼロを約束したのは、Amazonブランドの商品のみであり、他メーカーからの再販商品は含まれていないという点でした。 マイクロソフトのように、スコープ3排出量の定義を広げた他の企業は、著しく高いフットプリントが判明しています。

報告書に記載されている取り組みとしては、2030年までに配備予定の10万台の電気配送車両を米国のRivian Automotive社から購入したり、複数の再生可能技術への投資です。

UPSの終焉?

しかし、この報告書には、ひとつ意外なサプライズが含まれていました。「環境」セクションには、こんな一行が記されています。「AWSでは、電力効率の革新にかなりのリソースを費やし、データセンターの設計から中央の無停電電源装置(UPS)を取り除き、電源をラック内に統合し、Amazon EC2インスタンスよりも同等パフォーマンスで最大60%エネルギー消費を削減するGraviton EC2インスタンスを採用した」

DCDは、Amazonがラック内でバックアップを提供する電源装置のテストを行っていることを認識しており、それは理論的には中央UPSシステムの必要性をなくすことができるものです。ただAmazonのデータセンターでこれが大々的に展開されたという話は聞いていません。

マイクロソフトは7年前に同様のアイデアを提案していました。しかし、私たちが知る限り、マイクロソフトはUPSシステムを撤去していません。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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