企業におけるデータのクラウド移行がベトナムのDC市場を活性化する理由は?
ベトナムは、そのDNAにレジリエンスが組み込まれている国として知られています。レジリエンスは70年代にアメリカによる侵攻の際にも見られました。時は流れ2021年になると、ベトナムはこの地域で最もダイナミックな経済国の一つに変貌しました。
1986年のドイモイ改革から始まった経済自由化は、より工業化された市場ベースの経済に移行することを目的としていました。
グエン・タン・ズン前首相の10年にわたる長期政権中、観光業と製造業の輸出を基盤としたベトナムの経済成長は世界最速のものでしたが、グエン・フー・チョン書記長兼大統領の下でも国家管理による経済自由化は続いています。
そして今ベトナムは、データ爆発やサイバー攻撃、さらに経済的・財政的に強力な近隣諸国に対して、レジリエンスを証明しなければなりません。
政府はこのことを認識しており急速な進歩にむけ舵を切りました。調査会社ResearchAndMarketsによるとベトナムは世界のデータセンター新興市場のトップ10に入っており、目覚ましい成長と国際標準のサービス提供能力を持ち、多くの組織や企業が存在しています。
政府の成長戦略
ベトナムのデータセンター市場は、昨年8億5,800万米ドルで、2026年まで14.64%以上の複合年間成長率が予測されています。ベトナムのデータセンター市場の成長は、政府のプロジェクトやイニシアチブによってもたらされました。
データ保護は世界的関心事であり、ベトナム政府にとっても重要な課題です。ベトナム国立サイバーセキュリティセンター(NCSC)によると、今年上半期に約3,000件のサイバー攻撃が記録され、昨年から約30%増加しています。
5Gに対するベトナムの地理的境界線を保護するための中央政府の決定は、ベトナムのクラウドコンピューティングとデータセンター事情を大きく変えました。
ベトナム最大の通信会社であるベトテル社に最初の5Gトライアルライセンスを与えるという政府の決定は、サイバーセキュリティがコネクティビティ開発の中心であり続けることを示す明確なシグナルです。ベトテルはノキアやエリクソンなどの北欧企業と提携し、5Gキットを補完しました。
この運用が成功したことは国家安全保障上の利益を何よりも確保するために中央政府が取った施策が、実行可能で財政的にも信頼性のある選択肢であることを明確に示しています。国内のプロバイダーがより大きな独立性を示してゆけば、クラウドコンピューティングとデータセンターの市場は加速的に成長していくことでしょう。
デジタル経済の実現に向けて
6月にヴー・ドゥック・ダム副首相は、メコンデルタの最大の都市カントー市に集中的な情報技術(IT)ゾーンを設立する決定に署名しました。これは、ベトナムのデジタル経済への進出を加速させるための政府の取り組みです。
カイラン地区フンタンで面積約20万220平方メートル のこのゾーンには、カントー開発投資基金が投資する予定です。
サイバーセキュリティ法で定められているデータローカライゼーションに加え、ベトナムのユーザーを支援するための処理速度向上の必要性により、国内のデータセンターの需要が高まると予想されています。
さらにベトナム政府のデジタル化への傾倒も、データセンター需要を強化しています。2月にベトナムはAI導入に関して世界の上位国に入るために、2030年までに3つの「ビッグ」データセンターを建設することを決定しました。
ビッグデータやHPCに関する3つのデータセンターは、ベトナムが2030年までに人工知能(AI)の面でASEANでトップ4そして世界のトップ50にリストアップされるという首相の設定目標の中に含まれています。
この目標は今年1月にグエン・スアン・フック首相が承認した「2030年までのAI研究・開発・応用に関する国家戦略」に掲げられています。
政府だけでなく
民間では特にCOVID-19パンデミック以降、企業のテクノロジーを導入が進んでいます。Vingroupのテクノロジー子会社One Mount Groupは、Google Cloudと提携し、ベトナム最大のクラウドベースのテクノロジーエコシステムを構築しています。
ベトナムの企業活動の96%は、零細・中小企業(MSME)が占めています。4月、ベトナム国家決済公社(NAPAS)は現金支払いを制限し、闇クレジットを排除するために、7つの銀行と協力して統一規格の国内クレジットチップカードを導入することを決定したと発表しました。
現在、ベトナムのデジタル経済規模は140億ドルと推定されています。
Google、Temasek、Bain & Companyが発表したインターネットエコノミーレポート「e-Conomy Southeast Asia 2020」ではベトナムのデジタル経済が2025年に430億ドルに達すると予測しています。
さらに 企業データのラウド移行 がベトナムのデータセンター市場の推進力となっています。またビッグデータソリューション、IoT、クラウドベースのソリューションなどの導入が進んでいることも、2026年までの市場成長を後押しすると予想されています。
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