日本産業パートナーズ、東芝を150億ドルで買収へ
コングロマリット、株式非公開化へ
東芝が、日本の投資会社である日本産業パートナーズ株式会社(JIP)によって株式非公開にされることになりました。
東芝は今週、JIPの間接子会社である株式会社TBJHが東京証券取引所および名古屋証券取引所において同社の全株式を取得することで、株式非公開となることを発表しました。
このニュースを報じたWSJは、この取引の評価額はおよそ150億ドルであると報じています。
東芝の発表では、価格は「UBS証券が算出した1株あたりの株価レンジの下限を下回る」にもかかわらず、現在の株価より1株あたり約10%高く、取締役会はこの提案を支持したことが記されています。
「特別委員会は、JIPの提案が、1年にわたる完全競争かつ公正なプロセスの末に提示された唯一の包括的な入札であり、本公開買付価格は、潜在的な投資家やスポンサーから今日期待される最善の価格であると考えている」と東芝は述べています。
東芝は現在、エネルギー・バッテリーシステム、エンタープライズグレードHDD、およびビルディングソリューションなどの事業を展開しています。
東芝はこれまで多くの事業部門を売却してきましたが、メモリーチップ事業のキオクシアの株式は現在も保有しています。
今回の買収構造は、子会社の網の目のようなものです。TBJはTBGPの完全子会社であり、TBGP自体はJIPの完全子会社です。この取引の仕組み上、TBJはJIPの別の子会社であるTB Investment Limited Partnership(TBLPS)という投資ファンドが、Brick Lane Partnersを通じて買収することになります。また、TBLPSは、本取引において、関連ファンドと連携することになります。
TBLPSは、JIPの4つのファンド、日本の企業17社、日本の金融機関6社で構成されています。関連ファンドは、JIPの海外協力型ファンドと日本の機関投資家を含む海外ファンドで構成されています。
JIPは2002年11月に設立され、大企業の一部門を中心とした企業の買収・再編を行なっています。これまでの投資先には、ソニーのノートパソコン「VAIO」部門、NECのビッグローブISP、日立の「アラクサラ」通信部門などが挙げられます。
2022年4月、東芝は、売却の可能性に備えて「潜在的な投資家やスポンサーと関わり、戦略的選択肢を検討する」ための特別委員会を設置したと発表しました。5月までに、同社は10社の買い手が興味を示していると発表し、Bain Capital、CVC Capital Partners、KKR & Co.が候補に挙がっていると報じられました。なお、CVCは2021年に同社に対して買収提案を行ったものの、同年4月に買収を断念しています。
その後、JIPが優先交渉権者として浮上しましたが、数カ月にわたって合意価格をめぐる交渉が続けられてきました。
東芝は、1939年に芝浦製作所(1875年創業)と東京電気(1890年創業)が合併して設立された東京芝浦電気株式会社(東京芝浦電気株式会社)として知られていました。同社は電信機メーカーとしてスタートし、150年近い歴史の中で隣接する多くの分野に進出してきました。
しかし、2015年の会計不祥事や2017年のエネルギー子会社ウェスチングハウスの倒産により、合理化とコスト削減のために多くの部門を売却することを余儀なくされました。そして、インフラ、エレクトロニクス、その他事業と会社を3つに分割する計画が2021年に採用されるも、翌年には取り下げられていました。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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