Denv-R、フローティングデータセンターを今夏に導入、オフショアモデルも計画中

フランスのスタートアップ企業Denv-Rは、ナントで同社初となるフローティングデータセンターのプロトタイプを導入する準備を進めています。

Denv-R は、河川水により冷却される施設の開設計画を昨年発表しました。同社は、これによりエネルギー消費とCO2排出を削減できると述べています。

L’usine-Digitaleの報道によると、同社は夏にナントのロワール川沿いのナント港(Quai Président-Wilson岸壁)にフローティング型のプロトタイプを設立する予定であるとのことです。

この100㎡の大きさのコンテナは、オフショアブイを開発するGeps Techno社が開発した浮体上に設置される、と同社は述べています。

DenV-Rのデモ機には、最大200kWまで拡張可能なコンピューターラックが4台搭載される予定です。同社はこのプロジェクトに約90万ユーロ(約989万ドル)を投じると報じられています。

Denv-R の共同設立者兼 CEO である Vincent Le Breton 氏は、「この最初のユニットで、安全性、信頼性、可用性のいずれにおいても、当社のソリューションの実行可能性を示すことができる」と述べています。

同社は、OCPハードウェア上で仮想マシンとS3互換ストレージを提供する顧客向けクラウドプラットフォームも展開していますが、他社のクラウドについてもホストすることを視野に入れています。

「長期的には、自社をホストとして位置づけるのではなく、サードパーティのためにデータセンターのネットワークを運用・利用することで、クラウド市場の開拓を目指したい」とLe Breton氏は述べています。

フローティング・データセンターというアイデアは、米国のNautilus社が開拓したはしけに似ています。Nautilus社は米国カリフォルニア州にフローティング施設を保有し、そのほかアイルランドで開発中の施設や、米国メイン州の陸上データセンターも保有しています。

Denv-R社によると、同社のシステムはNautilus社のものより小型で、都市部の河川での展開に適しているとのことです。また、ポンプを使わず、受動的に水を循環させることができるといいます。同社は、このプラットフォームは “不沈 “であると主張しています。

2011年に設立されたGeps Technoは、スマートブイとプラットフォームを開発しています。同社のWavegemプラットフォームは、プラットフォーム上の太陽光発電と波力発電を組み合わせて、船上や近くのペイロードに電力を供給します。昨年、同社はメタと提携し、同社のプラットフォームが海底ケーブルの電力供給に利用できるか否かについての調査を行いました。

同社のプラットフォームは、さまざまなセンサーやデータ収集装置を搭載することができ、携帯電話、RF、衛星通信のオプションも備えています。また、船舶やオフショアプラットフォームの安定化技術も提供しています。

また、L’usine-digitaleは、Denv-Rが、海のうねりの力を利用してエネルギーを生産するオフショア版の開発に着手したと報道しています。

デジタル・リアルティはマルセイユの陸上施設で河川冷却を利用しており、Green Mountainはフランクフルト郊外に建設予定の施設で河川冷却の利用をめざしています。フィンランドのハミナにあるGoogleのキャンパスでは、海水による冷却を利用しています。

Nautilusに出資しているKeppelも、シンガポールで水素を利用したフローティング・データセンター・パークを計画しています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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