韓国のKIOSTが蔚山で、水中データセンター開発に関する契約を締結
10万GPUを収容可能な海底複合施設開発で合意
韓国で、水中データセンターを展開する計画が一歩前進しました。
韓国海洋科学技術院(KIOST)は最近、蔚山(ウルサン)広域市、GS Engineering & Construction(GS E&C)、POSCOと「環境にやさしい水中データセンター団地建設技術研究」に関する協力業務協定を締結したと発表しました。
この協定は、海底に10万台のサーバーを備えた海中データセンターを建設するための技術開発を目的としています。
KIOSTのLee Hee-seung社長は次のように述べました。 「KIOSTは、環境に優しい海中データセンターを構築するための関連技術を率先して開発することで、カーボンニュートラルと省エネルギーに向けたデータ産業の競争力を強化し、地域経済の活性化に貢献することが期待されています。」
両社は、水中データセンターの開発に関する国家研究プロジェクトの予算確保、水中データセンターの設計・建設および運用・保守に関するコア技術の開発、水中データセンターのテストベッドの設置・検証を目指しています。
水中データセンターの計画は、2022年4月にKIOSTと蔚山によって、韓国政府が資金を提供する大規模な水中都市プロジェクトの一環として初めて発案されました。この計画には、SK TelecomやLotte Engineeringを含む23社が関与していると言われています。
共同研究チームは今年末までに、研究スペースを備えたメインモジュール、データセンターモジュール、住居モジュールの詳細設計を完了する予定です。
最初の水中モジュールは、蔚山広域市蔚州郡西生面新里港沖の海底30mに設置され、海中複合施設には3人が居住することになっています。
POSCOは韓国の鉄鋼メーカーであり、GS E&Cは土木工事業者です。
水中データセンターへの関心高まる
水中データセンターはニッチな分野ではありますが、世界では数多くの水中データセンター・プロジェクトが進行しています。
しかし、KIOSTプロジェクトが他と異なるのは、消灯タイプのモジュールを配備するのではなく、より広いプラットフォームに人も水中に入れようとしている点です。
中国のHiCloudは昨年、海南省霊水里県沖の海底35mにサーバーを設置し、水中データセンター・モジュールを商業的に稼働させていると話しています。今後、合計100モジュールを展開する予定のようです。
データセンターの新興企業であるSubsea Cloudは、すでにアジアの海底で13,500台のサーバーを稼動させており、AI企業やゲーム業界にレンタルするとしています。許可を得て、来年には稼働を開始したいとしており、同社のサーバーは海水温に影響を与えないとしています。
カリフォルニアの新興企業であるNetworkOceanは、同社が設計したカプセルに収められた500kWのデータセンターをサンフランシスコ湾に沈める計画を立てています。
マイクロソフトは、この分野で最も知名度の高い企業ですが、このコンセプトへの関心は低いようです。
マイクロソフトのProject Natickは、2018年にスコットランド沖に海底データセンターを展開しています。
一方で、今年初めにDCDの取材に応じた同社のCloud Operations + Innovation(CO+I)部門の責任者であるNoelle Walshは、このプロジェクトは終わったと述べています。同社は2021年、水中データセンターに関する多くの特許をオープンソース化していました。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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