マイクロソフト、中空コアファイバのLumenisity社を買収

マイクロソフトは、英国を拠点とする中空コアファイバ(HCF:Hollow Core Fiber)ソリューションメーカーのLumenisity Limitedを買収しました。

光ファイバ技術の一種であるHCFは、ハニカムパターンに似たガラス管のリングで囲まれた、気体で満たされたセンターチャンネルを特徴としています。この設計では、波長分散を最小限に抑えながら大容量化を実現することが可能となります。

決して新しい技術では無いものの、性能面や信頼性の問題が改善されるにつれて、この技術への関心は徐々に高まってきています。

Lumenisity社は、HCF技術を商用化する目的で、サウサンプトン大学のオプトエレクトロニクス研究センター(ORC)からのスピンオフとして2017年に設立されました。同社は1250万ポンドを調達しており、euNetworks社を顧客として持ち、またBTは同社との実証実験を行ったことがあります。同社は最近、英国ロムジーに4万平方フィートのHCF製造拠点を開設しています。

マイクロソフトは今回の買収により、「グローバルなクラウドインフラをさらに最適化する」力を拡大し、厳格なレイテンシや セキュリティ要件を求めるマイクロソフトのCloud Platform and Servicesのユーザーにサービスを提供することができるようになる、と述べています。なお、買収条件については明らかにされていません。

LumenisityのHCFソリューションは、光が気体コアで伝搬する独自の設計を採用しており、ガラス製の固体コアで構成さ れる従来のケーブルよりも大きなアドバンテージがあると同社は主張しています。

また、マイクロソフトは今回の買収について次のようにコメントしています。「医療、金融サービス、製造、小売、政府機関などの組織は、高速処理、セキュリティ強化、帯域幅拡大、大容量通信を必要とするネットワークやデータセンターに依存しており、HCFソリューションから大きなメリットを得られる可能性がある」

「公共分野においては、HCFは世界中の連邦政府や地方自治体のセキュリティや侵入検知機能の強化に貢献することができるでしょう。また、医療分野では、HCFは大規模なデータセットに対応できるため、医療画像の検索を高速化したり、医療機関がクラウド上で医療画像データを取り込み、保存、共有することを円滑化させることが期待できる。また、デジタル経済の発展に伴い、HCFは幅広い地域にわたって迅速かつ安全な取引を求める国際金融機関にも役立つと考えられる」

今回のニュースについて、Lumenisity社は自社の記事で次のように述べています。「我々は、中空コア領域での進展を加速させる共通のビジョンを持つ企業に買収されたことを誇りに思う。これは始まりの終わりであり、マイクロソフトの一員としてこの技術の可能性を最大限に発揮し、通信ネットワークの新たな可能性を引き出すことを追求し続けるために、新たな一歩を踏み出すことにワクワクしている」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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